無人機攻撃で途絶えた東西輸送網が再び稼働
サウジアラビアで無人機攻撃によって損傷した原油パイプラインが、9月22日までに操業を再開した。攻撃を受けた設備は、国内の東部と紅海沿岸を結ぶ重要な輸送経路で、停止期間中は原油の供給や輸出に影響が生じていた。
パイプラインは9月10日に攻撃を受け、設備の損壊によって運転を中断していた。原油を紅海側へ運ぶ手段が制限されたことで、中東からの供給をめぐる懸念が強まっていた。
今回の再稼働によって、停止していた原油輸送が再び動き始めた。ただし、損傷した設備の修復作業は完了しておらず、通常の状態に戻るまでには、さらに時間が必要となる。
ホルムズ海峡を避ける紅海側ルートの役割
サウジアラビアの東西を結ぶパイプラインは、ホルムズ海峡を通過せずに原油を輸出するための経路として利用されている。
ホルムズ海峡では、イランをめぐる情勢の影響によって混乱が続いている。このため、紅海方面へ原油を送り、海上輸送につなげる経路が重要な役割を担ってきた。
しかし、代替輸送路となっていた設備自体が攻撃を受けたことで、紅海側からの輸出にも支障が発生した。陸上のパイプラインが止まった影響は、船舶への原油の積み込みにも及び、供給をめぐる不安を強める要因となっていた。
今回の操業再開は、ホルムズ海峡を経由しない輸送経路を回復させる動きとなる。
全面復旧には数週間、製油所への供給も再開へ
パイプラインの運転再開に伴い、紅海沿岸に位置する製油所への原油供給も再び始まる見通しとなった。停止していた船舶への積み込みについても、再開に向けた動きが進んでいる。
一方、パイプラインが完全に復旧するまでには数週間かかるとされる。稼働が再開された段階では、損傷した設備の修復がすべて完了したわけではなく、通常の輸送体制への回復には時間を要する。
原油輸送の再開に続き、製油所への供給や輸出に向けた積み込みが進むことになる。全面復旧まで作業が続くなか、陸上の輸送設備と紅海沿岸の輸出機能の回復が進められる。
パイプライン再開で原油供給への懸念が緩和
輸送設備の再稼働が明らかになると、原油市場では中東からの供給が回復するとの期待が広がった。
9月22日のニューヨーク原油市場では、国際的な原油取引の指標となるWTI先物価格が下落した。同日の取引では一時1バレル=92ドル台となり、9月8日以来、およそ2週間ぶりの安値を記録した。
今回の価格下落には、攻撃によって停止していたパイプラインが再び利用できるようになったことが影響している。輸送再開によって供給不足への懸念が和らぎ、原油先物価格を押し下げる材料となった。
ただし、操業の再開と全面的な供給能力の回復は異なり、設備の修復は引き続き必要な状況にある。
紅海周辺の緊張が残す原油輸送の不安定要素
パイプラインが運転を再開した一方で、紅海周辺の安全保障環境には不安定な状況が残されている。
サウジアラビアの隣国イエメンでは、イランから支援を受けるフーシ派が、サウジアラビアの支援する暫定政権に対する攻勢を強めている。フーシ派は紅海の出入り口に位置するバーブルマンデブ海峡周辺で、支配地域を拡大している。
同海峡は紅海を利用する海上輸送に関係する地域であり、ホルムズ海峡を避ける輸送経路を考えるうえでも重要となる。
今回の再稼働によって陸上の輸送経路は回復に向かっているが、損傷した設備の全面復旧と紅海周辺の情勢は、引き続き原油輸送に関係する重要な要素となっている。