GMOサイバー攻撃で顧客資産に被害、身代金拒否と補償調査の方針を公表

市原 陽葵
经过

GMOのクラウド利用者に金融資産の損害が発生

GMOインターネットグループが運営するクラウドサービスへのサイバー攻撃を巡り、顧客情報の流出に伴う金融資産への被害が確認された。11月2日に開かれた記者会見では、熊谷正寿会長兼社長らが利用者への対応や今後の調査方針を説明した。

対象となった「お名前.comデスクトップクラウド」では、外部の攻撃者が管理者権限を不正に取得し、サービスの運営環境に侵入していた。会社側は、流出した情報が悪用され、顧客の資産に損害が生じたと認めている。

外国為替証拠金取引(FX)に関する被害も報告されているが、損失の総額は明らかになっていない。サービスを担当するGMOインターネットの伊藤正社長は、顧客ごとの状況を確認しながら対応を進めると説明した。

11月6日から被害者への聞き取りと損失額の確認を開始

会社は11月6日から、被害を申し出た利用者に対する詳しい聞き取りを開始する予定だ。FX取引で生じた損失などについて、実際に何が起きたのかを個別に確認し、金銭的被害の規模を確定させる。

現時点では、補償に必要となる費用も算定できていない。経営幹部によると、調査結果と補償額の集計が進んだ段階で、業績に及ぼす影響を開示する方針だ。

また、今回の問題がグループ内のほかの事業に波及しているかについても確認を続ける。損失額や経営への影響について開示すべき事項が判明した場合は、遅滞なく公表するとしている。

攻撃者への金銭支払いを拒否し捜査機関との協力を継続

熊谷氏は会見で、攻撃者からの身代金要求には一切応じない考えを明確にした。金銭を渡す行為が犯罪活動を支えることにつながるとして、今後も支払いを行わない姿勢を示している。

攻撃者に関する調査では、被害を受けた顧客のパソコンを会社側で解析している。作業にはサイバーセキュリティー関連企業の専門家らが協力しており、国際刑事警察機構の情報部門に所属していた経験を持つ人物も参加しているという。

GMOは10月末、実行者の特定に役立つ情報を警察などに提供したと発表していた。北朝鮮系のハッカー集団が関与した可能性を問われた熊谷氏は、捜査への影響を理由に具体的な説明を控えた。

熊谷社長がSNS投稿を謝罪し発信休止の意向を表明

会見では、事件発覚後の熊谷氏によるSNS上の言動も取り上げられた。自身が笑顔で写った写真を掲載したことや、被害者に関係する内容を投稿したことについて、配慮を欠いていたと認めた。

熊谷氏は、攻撃者による脅迫に屈しない姿勢を示すことで、さらなる被害を防ごうと考えていたと説明した。しかし、その発信方法は適切ではなかったとして、利用者に改めて謝罪した。

今後は自身のSNSでの発信を休止する考えを示している。また、経営責任を問う質問に対しては、インターネットを安全に利用できる環境づくりに引き続き取り組む意向を表明した。

AI悪用への警戒とサイバー犯罪対策の制度整備を要請

熊谷氏は、近年のサイバー攻撃が大規模化している背景として、人工知能(AI)の発達に言及した。ただし、今回の事件で攻撃者がAIを利用したと裏付ける証拠は確認されていないと説明している。

その上で、海外からの不正なアクセスを早期に検知し、通信事業者に遮断を求められる制度の必要性を訴えた。企業による防御だけでなく、政府が関与する対策の整備を求めた形だ。

GMOは、2024年に社内の専門家から安全性の問題を指摘されながら、十分な改善を実現できなかったことも認めている。今後は被害者への対応を進める一方、社内の情報共有やリスク管理の仕組みについても検証を続ける方針だ。

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