全国分散型拠点構築へ動き加速
人工知能関連サービスの拡大に伴い、データ処理能力の確保が重要課題となっている。こうした状況を受け、NTTは国内のデータセンター整備を大幅に進める方針を打ち出した。
同社は2033年度までに、国内の電力容量換算で約1ギガワットの処理能力を整備する計画を示した。現在の規模と比べて3倍を超える拡張となり、将来的なAI利用の増大を見据えた投資と位置づけられている。
全国に複数拠点を配置することで、データ処理の安定性と通信効率の向上を図る考えである。
都市型施設など次世代設備の整備
首都圏では、2029年を目標に東京都内で新しい都市型施設の建設が計画されている。この施設では、最新の冷却技術を導入し、従来よりも高い処理効率を実現する。
液体を活用した冷却方式は、大量の演算機器が稼働する環境に適しており、高密度の計算装置を安定的に運用できる点が特徴である。
また、地方都市でも新施設の建設が予定されており、各地域での通信基盤強化が進められる見通しである。
半導体産業支援へ専用環境提供
NTTグループは、次世代半導体の開発を進める企業に対し、専用のデータ処理環境を提供する計画も明らかにした。半導体設計では高度なシミュレーションが必要となるため、高速演算設備の整備が不可欠である。
新施設は、こうした研究開発用途に対応できる仕様となる予定であり、国内の技術開発を支える役割が期待されている。
この取り組みにより、国内産業全体の競争力向上につなげる狙いがある。
多様な産業でAI利用拡大へ対応
金融機関や医療機関、製造業などでは、AIを活用した業務効率化が急速に進んでいる。これに伴い、大量データを処理できる基盤の整備が不可欠となっている。
NTTは、高速通信網と連携したデータ処理環境を整備し、多様な業界からの需要に応える方針を示している。用途ごとに最適な設備を提供することで、企業のデジタル化を支援する考えである。
AIの推論処理が増える中で、リアルタイム性の高い処理能力が今後の重要な要素となる。
競合企業の投資拡大と市場成長
国内では、通信各社による設備投資が相次いでいる。大阪府堺市では既存の工場跡地を活用した大型施設の運用が始まり、別の事業者も同地域で新施設の整備を進めている。
こうした動きの背景には、国内市場の拡大予測がある。AI普及を背景に、2030年には市場規模が5兆6000億円を超えると見込まれている。
NTTは、グループ全体の運用体制や技術力を生かし、こうした競争環境の中で優位性を維持する方針を示している。