オープンAIが米IPOを非公開申請、AI投資競争と巨額資金需要の行方に市場の注目集まる展開へ広がる見通し強まる

河本 尚真
经过

非公開申請で上場準備の動きが表面化する展開

対話型生成AI「チャットGPT」を展開する米オープンAIが、米国でのIPOを非公開で申請した。6月8日に明らかになったもので、同社は上場の規模や条件を公表していない。上場時期についても正式には決まっていないとしている。

オープンAIは声明で、非公開企業として進める方が容易な取り組みがあるため、上場までには一定の時間を要する可能性があると説明した。非公開申請は、企業が上場準備を進めながら市場環境や事業体制を見極める手続きである。今回の動きにより、同社が公開市場への移行を具体的な選択肢として進めていることが表面化した。

評価額と調達規模に市場の関心が集中する局面

報道では、オープンAIの企業価値が8500億ドル以上、円換算で約136兆円に達する可能性があるとされた。別の報道では、最大1兆ドル規模の評価額を目指し、早ければ9月にも上場する可能性があると伝えられていた。会社側はこれらの条件を正式には示していない。

同社は2月、ソフトバンクグループ、アマゾン・ドット・コム、エヌビディアなどから、8400億ドルの評価額で1100億ドルを調達したと明らかにしていた。巨額の資金調達実績は、AI関連企業に対する投資家の関心の高さを示している。今回のIPO申請は、非公開市場で膨らんだ企業価値が公開市場でどのように評価されるかを測る重要な事例となる。

AI基盤投資が巨額の資金需要を押し上げる構図

オープンAIの成長を支える中心には、生成AIサービスの利用拡大がある。同社は、チャットGPTの週間アクティブユーザーが9億人を超え、有料の個人ユーザーが5000万人を上回ったと発表している。さらに3月には、月間売上高が20億ドルに達したと説明した。

一方で、AI開発と運用には、データセンターや半導体、電力関連設備への継続的な投資が必要となる。報道では、上場で得る資金がAI開発や運用に必要なインフラ整備に充てられるとみられている。オープンAIは、ソフトバンクグループなどと発電所を含むAIインフラ計画「スターゲート」構想も進めており、資金需要は今後も大きい。

競合各社の上場計画も相次いで進展する情勢

AI関連企業の上場をめぐっては、競合のアンソロピックも動きを強めている。同社は6月1日、米国でIPOを非公開で申請したと発表した。5月下旬には新たに650億ドルを調達し、企業価値が9650億ドルに達したことも明らかにしている。

また、実業家イーロン・マスク氏が率いる宇宙開発企業スペースXも大型上場案件として注目されている。スペースXは750億ドルの調達を目指し、企業価値が1兆7500億ドルに達する見通しとされる。オープンAI、アンソロピック、スペースXという大型企業の上場観測が重なり、米IPO市場では巨額案件への関心が高まっている。

公開市場への資金流入が今後の焦点となる局面

大型IPOは米国の新規上場市場に活気をもたらす可能性がある。一方で、銀行関係者の間では、本来なら中小規模のIPOに向かう資金を大型案件が吸収するとの懸念も出ている。公開市場で投資資金をどの企業が確保するかは、AI関連企業の成長戦略を左右する要素となる。

オープンAIは、営利企業化をめぐって批判していた共同創業者のイーロン・マスク氏との訴訟で勝訴している。事業体制をめぐる不確実性を整理しながら、同社は上場に向けた準備を進める段階に入った。生成AI市場の拡大と巨額投資の必要性を背景に、同社のIPOは米公開市場の資金配分を占う案件となる。

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