攻撃停止表明後も続く中東の緊張、レバノン戦闘と米国の仲介が焦点となり停戦維持の課題が改めて浮上

小野寺 佳乃

停戦表明後も残る軍事衝突の火種

イランとイスラエルは6月8日、相互攻撃を止めたと発表した。ただ、両国の声明は緊張緩和だけを意味するものではなく、双方が相手側の今後の行動次第で再び対応すると示した点に特徴がある。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、攻撃は現時点で停止していると述べる一方、イランやヒズボラとの戦いは終わっていないと強調した。

イラン軍は、イスラエルに対する報復攻撃を終えたとして、作戦の停止を明らかにした。一方で、イスラエルがレバノンなどで軍事行動を継続すれば、さらに強い対応を取ると警告した。攻撃停止を発表した後も、双方は必要に応じて軍事行動に踏み切る余地を残している。

レバノンで続く戦闘が合意内容を左右

今回の衝突は、レバノンでの戦闘と密接に結び付いている。イランは、イスラエルがベイルート郊外でヒズボラを攻撃したことへの報復として、イスラエルにミサイルを発射した。イスラエルはこれを受け、イラン国内の軍事関連施設や防空網を標的にした。

レバノンでは、攻撃停止表明後も死傷者が出ている。レバノン保健省によると、南部ティールで6月8日にイスラエルの空爆があり、5人が死亡、8人が負傷した。ヒズボラもイスラエル軍の兵士や車両に向けてロケット弾を撃ったと発表しており、現地の戦闘は継続している。

米国の仲介と首脳間協議の行方に注目

ドナルド・トランプ米大統領は、イスラエルとイランに対し、直ちに攻撃をやめるよう求めた。トランプ氏は、和平に向けた最終交渉が進んでいると説明し、停戦を維持する必要性を示した。米国はここ数週間、イランとの幅広い合意に近づくため、イスラエルに軍事作戦の縮小を求めている。

トランプ氏は、ネタニヤフ氏との電話会談で分別が必要だと伝えたと述べた。アクシオスによると、トランプ氏は、イスラエルが再びイランとの戦争に戻れば孤立する可能性があると警告したという。一方で、トランプ氏はBBCに対し、ネタニヤフ氏が自身の意向に反して攻撃したとの見方は否定した。

紅海と地域勢力を巡る警戒感が拡大

イランとイスラエルの緊張は、レバノンだけでなく紅海周辺にも広がっている。イエメンの親イラン武装組織フーシ派は、紅海でイスラエル船舶の航行を阻止すると表明した。さらに、イスラエルに向けてミサイルを発射したとも明らかにした。

イスラエル軍はその後、エイラート地域で警報が鳴った後、イエメンから飛来した不審な飛行物体を迎撃したと発表した。フーシ派はこれまで今回の紛争に大きく関与してこなかったが、紅海の入り口を支配している。ホルムズ海峡を巡る懸念が高まる中、紅海は中東産原油の代替輸送路として重要性を増している。

不信残す停戦維持の行方に焦点

イラン外務省は、米国との間でメッセージのやり取りが行われているとしながらも、その雰囲気は極度の不信に包まれていると説明した。イラン国会の国家安全保障委員会関係者は、イランの安全保障や地域の同盟勢力への行動には高い代償を伴う対応を取ると警告した。こうした発言は、攻撃停止後も強硬姿勢が続いていることを示している。

国連のアントニオ・グテレス事務総長は、全ての当事者に自制を求め、状況を悪化させる行動を控えるよう呼びかけた。米国、イスラエル、イラン、レバノンの各問題は互いに関連し、1つの衝突が別の地域の緊張を高める構図となっている。攻撃停止の表明は行われたが、停戦を維持するには、レバノンでの戦闘、地域勢力の動き、米国とイランの協議が引き続き焦点となる。

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