傘下2社の架空計上問題が総会の焦点となる
KDDIの定時株主総会では、傘下2社で明らかになった架空取引が大きな論点となった。松田浩路社長は、株主に迷惑と心配をかけたとして謝罪した。問題が起きたのは、ビッグローブとジー・プランで、取引先の広告代理店との間で実体のない業務を処理していた。
取引は、業務を受発注したように装う形で行われた。これにより、売上高として計2400億円超が架空に計上された。通信大手のグループ企業で発覚した不正として、株主総会でも経営責任や管理体制が問われた。
2400億円超の売上高修正に波及した影響大きく
KDDIは、架空取引の影響を受けて過年度決算を修正した。修正対象は2025年4〜12月期までの決算で、売上高は累計2461億円下振れした。営業利益も同1508億円下振れしており、会計上の影響は大きい。
さらに、手数料として329億円が外部に流出したことも明らかになっている。松田社長は、損害賠償請求などを通じて回収に努めると説明した。KDDIはすでに、取引に関わった21社のうち一部企業を相手取り、損害賠償を求める訴訟を起こしている。
属人化と事業管理の甘さが課題として浮上した
KDDIは、不正が発生した背景について、子会社での業務が特定の担当者に依存していたことを挙げた。業務の流れや取引の確認が限られた範囲に閉じ、管理上の問題を見逃す構造があった。こうした属人化は、内部統制の弱さを示す要素となった。
親会社であるKDDIによる事業管理が十分ではなかった点も説明された。子会社や孫会社の取引をどのように把握し、異常を検知するかが課題として残った。社長直轄の会議体を通じて再発防止に取り組むとしているが、実効性のある運用が問われる。
社外取締役にも再発防止策の見解問う声が続く
総会では、株主から不正防止を求める意見が相次いだ。再発防止策について、社外取締役の見解を確認する質問も出された。株主は、経営陣だけでなく、監督機能を担う社外取締役にも説明責任を求めた形となった。
質問は計14問あり、このうち5問が架空取引に関する内容だった。過去に公表された海外子会社の不正会計を踏まえ、グループ全体のガバナンス体制を問い直す声もあった。総会は前年より30分長い128分に及び、不正問題への関心が議事の中でも大きな割合を占めた。
グループ統治の再構築が信頼回復の前提となる
KDDIは、取締役12人の選任など5議案を株主総会に諮り、すべて可決した。議案は承認されたものの、架空取引への対応は今後も続く。流出した329億円の回収、取引先企業への責任追及、関与した元社員2人への補償請求方針が焦点となる。
今回の問題は、架空の売上計上だけでなく、グループ企業を管理する仕組みの不備を浮き彫りにした。KDDIが信頼を回復するには、法的対応と並行して、子会社管理の体制を立て直す必要がある。再発防止策が現場まで浸透し、同様の不正を防ぐ仕組みとして機能するかが問われる。