JDI、173億円の資本増強で債務超過を解消 6月末の純資産36億円、財務安定化へ資産売却と追加施策を今後も継続

浅川 涼花
经过

173億円の資本注入で財務状態が改善へ

ジャパンディスプレイ(JDI)は8月10日、2026年6月末時点で債務超過の状態を脱したと発表した。3月末には純資産が74億円のマイナスとなっていたが、筆頭株主のいちごトラストによる資金投入で資本を積み増した。いちごトラストが新株予約権を一部行使し、これまでの払い込み額は合計173億円に達した。その結果、6月末時点の純資産は36億円のプラスへ転じ、短期間で資本面の改善が進んだ。慢性的な赤字が続いてきたJDIにとって、財務再建を進める上で重要な変化となった。

東証プライム上場維持へ財務強化を継続へ

JDIは2027年3月末時点で債務超過を解消できていない場合、東京証券取引所プライム市場で上場廃止となる可能性がある。今回の資本増強により6月末では純資産をプラスに戻したが、会社側は財務再建が完了したとは位置付けていない。明間純社長はオンラインで開いた決算会見で、現時点では債務超過を解消したものの、さらに安定した財務基盤を築く必要があるとの認識を示した。今後も新株予約権の行使や保有資産の譲渡などを組み合わせ、資本の安定性を高めていく方針だ。

4〜6月期の最終損失は34億円まで縮小

同日に公表した2026年4〜6月期連結決算では、最終損益が34億円の赤字となった。前年同期には202億円の最終赤字を計上しており、1年間で損失額は大きく縮小した。人件費の削減をはじめとする構造改革が収支改善につながった。資本増強による財務改善だけでなく、事業運営に必要なコストの見直しも進めたことが数字に表れた。ただ、最終損益自体は依然として赤字であり、継続的に利益を生み出す事業構造への転換は引き続き課題となる。

茂原工場の生産終了で売上高は26%減少

4〜6月期の売上高は239億円となり、前年同期から26%減少した。スマートフォン向け液晶パネルなどを製造していた茂原工場(千葉県茂原市)で生産を終えたことが減収につながった。JDIは長年続く赤字体質からの転換を目指して生産体制やコスト構造の再編を進めており、今回の決算では損失縮小と売上規模の縮小が同時に示された。費用面で一定の改善を確保する一方、事業規模の変化を踏まえた収益基盤の再構築も求められている。

茂原工場の売却も進め財務安定化を図る

財務体質をさらに強化する施策として、JDIは茂原工場の売却に向けた交渉も続けている。明間社長によると、現在は複数の候補者と協議しており、デューデリジェンスと呼ばれる資産査定を繰り返している段階という。会社側は売却先について可能な限り早く決定したい考えを示している。173億円の資金調達によって債務超過は一度解消されたが、JDIは資産譲渡や追加の資本施策を継続し、より安定した財務状態の確立を進める。

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