5カ月遅れの決算発表で影響の全容が判明
アサヒグループホールディングスは7月8日、2025年12月期決算と2026年12月期の業績予想を発表した。2025年9月に受けたサイバー攻撃の影響で決算手続きが遅れ、発表は当初より約5カ月遅れた。今回の公表により、システム障害が業績に与えた影響と、次期の回復計画が同時に示された。
2025年12月期の売上収益は2兆8946億円、純利益は1215億円にとどまった。純利益は前年から36%台の減少となり、日経は37%減と報じている。国内ではビールなどの生産が一時停止し、出荷体制や物流の回復に時間を要したことが業績を押し下げた。
値上げと円安が売上回復を後押しする構図を示す
2026年12月期について、会社は売上収益を前期比11%増の3兆2200億円と予想した。売上収益が3兆円を超えれば初めてとなる。日本・東アジアで販売の回復を見込むほか、各地域で実施する価格改定が単価上昇につながる。
為替の円安も売上収益を押し上げる要因となる。会社は為替影響により売上収益が1677億円増えると見込んでいる。システム障害からの供給正常化に加え、価格改定と為替効果が増収計画の柱となる。
固定資産売却益も純利益の増加に寄与する見通し
2026年12月期の純利益は前期比60%増の1940億円を見込む。これは過去最高を更新する水準で、市場予想平均の1773億円を上回る。事業利益も11%増の2910億円を見込んでおり、本業面でも回復を想定している。
利益を押し上げる要素として、アサヒビール博多工場の用地譲渡も挙げられる。福岡市にある同工場の用地を4月に譲渡したことに伴い、固定資産売却益を約350億円計上する。販売回復だけでなく、資産売却益も純利益の増加に寄与する形となる。
報酬返上でシステム障害への経営責任を明示
一方、2025年の業績悪化につながったシステム障害について、経営側は責任を示す対応も明らかにした。勝木敦志社長やグループ会社の役員を含む計4人が、月額報酬の2割を3カ月間、自主返上する。関係者に影響を与えたことを踏まえた措置である。
サイバー攻撃に伴う関連費用は約170億円に上った。予定通りに出荷できなかった商品に関連する在庫の廃棄や、システム復旧にかかった費用などが含まれる。2026年も広告販促費を含む一時費用や情報セキュリティー費用などで90億円超の費用増を見込むが、会社は業績計画の中で吸収する考えを示している。
反転攻勢の実行力が問われる重要局面に入る
勝木社長は、2025年決算について厳しい結果だったとして関係者に謝意とおわびを示した。そのうえで、2026年は過去最高の業績を見込むとして、反転攻勢を図る姿勢を示した。全商品の出荷は2026年4月から再開しており、供給面では正常化に向かっている。
決算発表を受け、株式市場では同社株が午後に買われた。一時は前日比6%高の1709円50銭まで上昇し、2月27日以来の高値を付けた。終値は3%高の1660円50銭だった。2026年は、値上げ、販売回復、資産売却益を業績向上につなげながら、サイバー攻撃後の管理体制を強化できるかが問われる。