安全保障上の懸案を巡り応酬
ルビオ米国務長官と中国の王毅外相は7月22日、フィリピン・マニラで会談し、台湾や南シナ海を含む安全保障問題について協議した。両国間では軍事、通商、地域秩序を巡る意見の違いが続いている。双方は立場の隔たりを認めながら、緊張が制御できない状況に発展することを避ける必要性を確認した。
会談はASEAN関連会合に合わせて行われ、約90分間続いた。ルビオ氏は、米中が世界全体に及ぼす影響を踏まえれば、関係や対話を持たない状態は無責任だとの考えを示した。問題が短期間で解消しないことを前提に、外交ルートを通じて危機を管理する姿勢を明確にした。
台湾周辺の活動に米国が懸念
ルビオ氏は会談で、台湾周辺における中国海警局の活動を取り上げた。こうした行動は、米中が目指す戦略的な安定に反するとの見方を中国側に伝えた。台湾を巡っては、中国が自国領土の一部と位置付ける一方、米国は地域の平和と安定を重視しており、双方の主張には大きな差がある。
王氏は米国に対し、中国が重視する利益と台湾に関する原則を尊重するよう求めた。中国側は、米国の言動が自国の正当な懸念を損なっているとして、意見の相違を適切に管理するよう要求した。台湾への武器供与などを念頭に、中国の立場を改めて示した形となった。
南シナ海情勢でも主張が対立
ルビオ氏は会談前、フィリピンのメディアへの寄稿で、南シナ海における中国の行動を批判していた。地域の米国同盟国が威圧的な圧力に直面しているとし、中国の海洋活動に警戒を表明した。外相会談でも、地域の安全保障を巡る米中の認識差が背景となった。
7月20日に起きた中国海警局とフィリピン海軍の衝突について、ルビオ氏は緊張の高まりはどの当事者の利益にもならないと述べた。そのうえで、米国には防衛条約に基づいてフィリピンを支援する義務があるとの立場を再確認した。中国側との対話を続けつつ、同盟国への関与を維持する米国の方針が示された。
相違を抱えながら協力先を模索
ルビオ氏は、米中には大きな対立が存在する一方、共同で対応できる領域もあると説明した。両国がそれぞれの国益を守ることを認めたうえで、協力可能な分野を特定することが必要だとした。対話の目的を、全面的な関係改善ではなく、競争を一定の範囲に抑えることに置いた。
中国政府の発表では、会談は実務的で積極的な内容だったとされた。王氏も両国首脳が共有した方針を実行に移すため、政治と外交の連絡経路を活用するよう求めた。対立する論点を残しながらも、相互の意図を確認する機会として一定の評価を与えた。
緊張管理と首脳協議を並行
両外相は、9月に予定される習近平国家主席の米国訪問を見据え、次回の高官交流に必要な準備を進めることで合意した。首脳協議を実現させるため、台湾、通商、地域安全保障などの争点について事前調整を続ける。外交当局には、対立の拡大を防ぎながら、首脳間で協議可能な議題をまとめる役割が求められる。
今回の会談で、台湾や南シナ海を巡る立場が接近したわけではない。しかし、双方は相違を認識したうえで接触を続け、偶発的な衝突や関係悪化を抑える方針を共有した。マニラでの協議は、安全保障上の競争が続く中でも、米中が対話の枠組みを維持する姿勢を示すものとなった。