約30年ぶりの日米共同介入に至った円安の背景
2026年7月下旬、日本と米国は円相場の下落に対応するため、約30年ぶりとなる共同の円買い介入を実施した。円は対ドルで1980年代以来の安値まで値下がりしており、為替市場の動向が両国の政策課題となっていた。
日本では円安が輸入品の価格を押し上げ、家計の生活費を増加させる要因となっていた。一方、米国のトランプ大統領は、円安によって日本の製造業者が貿易面で不公正な競争上の利益を得ていると批判していた。
両国が円相場を問題視する背景には、こうした国内経済と国際貿易への影響がある。7月の介入は、日米がそれぞれの経済上の問題を抱える中で実施された共同措置となった。
日本の為替介入は15兆3993億円で過去最大
日本政府・日銀は、7月30日から8月26日までに合計15兆3993億円を為替市場に投入した。財務省が公表した介入実績によると、月次ベースの金額として過去最大を更新した。
円安は海外から輸入する商品などの価格を押し上げ、日本国内の物価や家計支出に影響を及ぼしていた。日本の政策当局にとって、為替相場の下落は重要な対応課題となっていた。
今回の市場介入では、日本政府が保有する米国債を担保に資金を借り入れる手法も採用された。大規模な円買いを実施するため、介入原資の確保についても通常とは異なる対応が取られた。
米国は財務省資金のみで円買いを支える方式を採用
米国側の資金調達についても、従来の為替介入とは異なる仕組みが用いられた。10月7日に公表された米連邦公開市場委員会(FOMC)の9月会合議事要旨によって、米財務省が単独で資金を負担していたことが判明した。
通常の米国の市場介入では、財務省と米連邦準備制度理事会(FRB)がそれぞれの勘定を利用する。しかし、今回はニューヨーク連邦準備銀行が財務省の代理として取引を担当し、FRBの資金は使われなかった。
FRBが保有する米国債などを管理するシステム・オープン・マーケット・アカウント(SOMA)も利用されていない。米政府がユーロ売りを通じて円高を促したとの見方もあり、介入方法には複数の特徴があった。
米財務長官は介入額の小ささと米国の利益を強調
米国が今回の協調介入に投入した具体的な金額は公表されていない。FOMCの議事要旨にも、介入の正確な日時や規模に関する詳細は記載されなかった。
ベッセント米財務長官は9月、米国側の資金投入額はごく少額だったと説明した。そのうえで、円買い介入への参加は米国の利益にかなう行動だったとの見解を示している。
米国ではトランプ大統領が円安を貿易上の問題として批判しており、日本の製造業者が為替相場から得る競争上の優位性を問題視している。日本が物価上昇への対応を重視する一方、米国では貿易上の公平性も円相場をめぐる重要な論点となっている。
両国が追加の市場介入を選択肢として維持する方針
7月の共同介入では、日本が過去最大規模の資金を投入し、米国はFRBの資金を使用せずに市場取引を実施した。約30年ぶりの円買い協調介入は、資金規模だけでなく、両国が採用した資金調達方法にも特徴があった。
日本側は米国債を担保に借り入れを行い、米国側では財務省が資金を負担した。FOMC議事要旨の公表により、米国側の介入資金の出所とニューヨーク連銀の役割が確認された。
片山さつき財務相とベッセント米財務長官は、必要な場合には再び為替市場に介入する考えを示している。両国の当局は追加対応の可能性を維持しており、円相場をめぐる政策上の問題は引き続き日米双方の課題となっている。