地中海上で支援船を拿捕 航行中に軍が介入
イスラエル軍は6月9日未明、パレスチナ自治区ガザに向けて地中海を航行していた人道支援船を拿捕し、複数の乗船者を拘束した。拘束された中には、環境活動家として知られるスウェーデンのグレタ・トゥンベリ氏も含まれていた。拿捕はエジプト沖のガザから約190キロの地点で行われた。
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船には欧州議員も同乗 イタリアから出港
問題の支援船は、6月1日にイタリアを出発し、支援物資とともにガザ地区を目指していた。船にはグレタ氏のほか、フランスの欧州議会議員や人道支援関係者らが乗船しており、現地住民への物資供給を目的としていた。支援団体によれば、航行ルートは事前に通知されていたという。
国防相がガザ到着阻止を指示 ハマスとの関係を非難
イスラエルのヨアヴ・カッツ国防相は前日8日、同船のガザ到着を阻止するよう軍に明確に指示していた。カッツ氏は、グレタ氏らがイスラエルと対立するイスラム組織ハマスの主張を代弁しているとし、「国家の安全保障に対する脅威」と位置づけた。
外務省は送還方針を発表 安全確保を強調
拿捕後、イスラエル外務省は乗船者について「安全を確保した上で、出身国に送還する」と発表した。また、拿捕された船もイスラエルに向けて安全に航行中であると説明した。拘束時の映像には、グレタ氏が救命胴衣を着用している様子が映っていた。
支援団体は国際法違反と主張 動画で抗議の訴え
支援船を運航していた団体は「イスラエルによる拿捕は明白な国際法違反」と非難している。グレタ氏も拘束前に録画された動画の中で、「この映像を見ているということは、私たちは妨害され、誘拐されたことになる」と訴え、国際社会に問題提起を行っている。