台湾北部で魏新体制下初の株主総会を開催
台湾積体電路製造(TSMC)は6月3日、台湾北部の新竹県で株主総会を実施した。今回の会合は、2023年に前会長の劉徳音氏から職務を引き継いだ魏哲家氏にとって、会長兼CEOとして初めての総会となる。世界の半導体業界を牽引する同社の経営戦略に対する関心が集まった。
米関税政策が業界に及ぼす影響への関心高まる
トランプ前米政権が打ち出した高関税政策の再導入が懸念される中、業界全体の不透明感が強まっている。特に米中貿易摩擦の激化は、半導体のグローバル供給網に影響を及ぼす可能性があり、TSMCの対応が注目される局面となった。
魏CEOが米国事業強化計画を改めて強調
総会では魏哲家CEOが登壇し、3月に発表された米国への1,000億ドル規模の投資について説明した。これはアリゾナ州などでの先端製造拠点の建設を含むもので、米国の半導体自給自足体制の構築に貢献する動きと位置付けられる。
地政学的リスクに対する企業の備えも焦点に
台湾海峡情勢や米中関係の悪化など、地政学的な不確実性が増す中で、TSMCのサプライチェーン多様化戦略が議論された。米国への投資はその一環とされ、グローバルな供給体制の安定確保が優先課題として浮上している。
技術革新と市場拡大の両立に意欲を示す
魏氏はまた、AI向けや次世代スマートフォン向けの最先端プロセス開発にも言及し、研究開発と生産投資を両立させる方針を示した。TSMCは、引き続き技術面でも市場競争力を維持していく姿勢を打ち出した。