ロサンゼルスで続く移民摘発が混乱を招く
アメリカ西部ロサンゼルスでは、移民税関捜査局による不法滞在者の摘発が6月11日も続き、市内中心部では連邦機関に対する抗議デモが連日行われている。これにより市街地では混乱が拡大しており、治安維持が困難な状況となっている。
軍と州兵の大規模派遣が発表される
トランプ大統領の指示のもと、ロサンゼルス都市圏には海兵隊と州兵を合わせて4700人が配備された。11日には、そのうち700人の海兵隊員が訓練を終え、今後48時間以内に現場に展開されるとアメリカ軍が正式に明らかにした。こうした軍事力の投入に対しては、カリフォルニア州知事やロサンゼルス市長が警戒感を示し、強く反発している。
ワシントン州スポケーンでもデモが拡大
ワシントン州スポケーンでも11日、大規模なデモが行われ、地元当局は30人超を拘束した。市当局は状況の悪化を受けて非常事態を宣言し、特定地域に対して夜間の外出を制限する命令を出した。
専門家が指摘する権威主義化の兆候
慶應義塾大学の渡辺靖教授は、今回の事態の背景には「法による支配から力による支配への転換が進んでいる」と述べ、アメリカが権威主義国家に近づいているとの懸念を示した。トランプ氏の誕生日である6月14日に予定されている軍事パレードと合わせ、反対勢力への威圧として機能している可能性があると分析している。
国内世論と政権内の動向が鍵に
渡辺教授は今後の展開について、共和党内部の自制力が試されるとし、「軍が市民に銃口を向ければ抗議はさらに拡大するだろう」と指摘。また、今回の抗議のきっかけは移民政策だが、他の社会問題でも同様の緊張が表面化するリスクが残るとの見方を示した。