終戦印象を前面に打ち出す
米国のトランプ大統領は3月9日、対イラン軍事作戦について「ほぼ完了した」との認識を相次いで示し、戦闘終息が近いとの印象を打ち出した。記者会見では、軍事行動は「大成功」だったとした上で、残る標的も短期間で対処できるとの考えを表明した。イランが将来にわたり核兵器を開発できない状態にすることを重要課題として挙げつつ、作戦の成果を国内外に強く訴える姿勢を鮮明にした。
市場反応と政権の発信効果
この発言の直後、市場は敏感に反応した。急騰していた原油価格は大きく下がり、アジアの株式市場は一斉に上昇した。読売新聞の記事では、トランプ氏の発信について、市場の混乱を抑える意図があるとの見方が強まっていると伝えた。トランプ氏は過去にも、市場の否定的な動きに直面した局面で強硬策を修正した経緯があり、今回も原油高や株安の長期化を避ける判断がにじむ。11月の中間選挙を控える中、物価上昇への懸念が支持基盤に及ぶことも意識された形だ。
目標の達成度と残る課題
ただし、作戦の到達点は限定的だ。記事によれば、イランの弾道ミサイル能力や海軍戦力の弱体化は進んでいる一方、体制転換の見通しは立っていない。トランプ氏自身も、誰に後継を担わせるのかや、それをどのように実現するのかについて具体的には示していない。さらに、イランの新最高指導者となったモジタバ・ハメネイ師が核開発停止などの要求に応じない場合の対応を巡り、強硬な姿勢が報じられている。終結時期を明示していないことも、戦闘の先行きに不透明さを残している。
続く戦闘と人命への影響
現地では軍事衝突が続いている。イスラエル軍は9日、革命防衛隊の関連拠点などを攻撃し、テヘランでも標的への打撃を続けた。イラン側の反撃に備えてイスラエルでは避難指示が出され、周辺国にも被害が広がっている。バーレーンでは集合住宅への攻撃で死傷者が出た。記者会見では、この戦争で7人目となる米兵の戦死確認を受け、米国人の犠牲をどこまで受け入れるのかとの質問も出た。トランプ氏は、紛争では死者が生じると述べ、戦死兵の遺族から作戦完遂を求められたと説明した。
ロシア協議とエネルギー問題浮上
トランプ氏は同日、プーチン大統領と電話で協議し、イラン情勢とウクライナ情勢を話し合った。クレムリンは、プーチン氏が政治的・外交的解決に向けた案を提示したと説明している。一方、プーチン氏は別の場で、戦争が世界のエネルギー危機を招いているとして、ロシアが石油とガスの供給で状況緩和を支援する用意があると表明した。ホルムズ海峡を巡る緊張が続く中、軍事作戦の行方は安全保障だけでなく、資源供給と国際市場の安定にも直結する局面となっている。