中東情勢緊迫で政府が石油備蓄放出を決定
政府は2026年3月11日、中東情勢の緊迫化を受けて石油備蓄を放出する方針を決定した。高市早苗首相が同日夜、首相公邸で記者団に説明し、16日にも市場への供給を開始すると明らかにした。
今回の措置では、民間が保有する備蓄の一部を先行して放出するほか、政府の国家備蓄も活用する。原油供給量を増やすことで、国際市場の需給を緩和し、国内エネルギー価格の上昇を抑える狙いがある。
首相は、国際エネルギー機関(IEA)による協調対応を待たず、日本として独自に対応する必要があると判断したと説明した。
民間と国家合わせ45日分の過去最大規模
経済産業省によると、今回の放出量は民間備蓄15日分と国家備蓄約1カ月分で、合計45日分に相当する。原油量では約8000万バレルが市場に供給される見通しである。
この規模は、日本がこれまでに実施した備蓄放出の中でも最大となる。
日本には2025年末時点で、国家備蓄と民間備蓄を合わせて約254日分の石油在庫があり、今回の放出後も一定の備蓄水準は維持される。
ホルムズ海峡封鎖で原油輸入減少の懸念
今回の決定の背景には、中東地域の緊張の高まりがある。日本が輸入する原油の9割以上は中東地域に依存しており、その多くがホルムズ海峡を通過して輸送されている。
しかし、この海峡は事実上封鎖された状態が続き、原油輸送への影響が懸念されている。
首相は「今月下旬以降、日本への原油輸入は大幅に減少する見通しだ」と述べ、供給の不安定化に備える必要性を強調した。
国際連携を視野にエネルギー供給確保
政府は今回の措置について、G7やIEAとの協力を維持しながら実施する方針を示している。
高市首相は、国際的な備蓄放出の正式決定を待たずに、日本が先行して市場の需給緩和に取り組む必要があると説明した。
また、木原稔官房長官は同日の記者会見で、中東地域の安定は日本のエネルギー安全保障にとって極めて重要であると述べた。
エネルギー安定供給へ政府の対応強化
政府は石油製品の供給不足を回避するため、複数の対策を進めている。
赤沢亮正経済産業相は衆院予算委員会で、国家備蓄の単独放出は制度上可能であると説明し、安定供給の確保に万全を期す考えを示した。
政府は今後もエネルギー市場の動向を注視しながら、供給と価格の安定を図るための対応を続けるとしている。