イランが海峡課金の正当性主張、米政権反発で停戦協議の新たな焦点に

市原 陽葵
经过

海峡課金をめぐりイランが立場を表明

イラン外務省のバガイ報道官は5月25日の記者会見で、ホルムズ海峡を通過する船舶に「通航料」は求めないと述べた。その一方で、提供するサービスへの対価を求めるのは当然だと説明し、船舶への課金を実施する考えを示した。国際海峡での通航料徴収は国際法上認められないため、イランは別の名目を用いる形で正当性を主張している。

ホルムズ海峡はエネルギー輸送の要衝であり、中東の石油やLNGを運ぶ船舶が通過する重要な海上交通路である。バガイ氏は、イランとオマーンが国際法に沿って安全な通航を確保していると述べた。案内、安全確保、環境保全には費用が生じるとの説明も加えている。

管理機関設置で実効支配を強化

イランは海峡の実効支配を強め、管理機関としてペルシャ湾海峡庁を設置した。船舶の通航には同庁の許可が必要だと主張している。イラン革命防衛隊は連日、イラン側の許可を得た数十隻の船舶が海峡を通過していると説明している。

この管理強化は、停戦協議とも重なる重要な論点となっている。米国側は、イランがホルムズ海峡の開放に原則的に合意したとの見方を示している。これに対し、イラン側は暫定合意案に海峡管理の細部は含まれていないと説明しており、双方の認識には違いがある。

米国の封鎖解除と航行安全が焦点

戦争終結に向けた14項目の覚書では、米国による海上封鎖の解除と、イランによるホルムズ海峡での安全航行確保が中心に置かれている。イランが安全な通航を保証する措置を講じることが、米国の封鎖解除と結び付く構図である。双方はこの枠組みで一定の進展があったとしている。

一方、米政権はイランの課金方針に異議を唱えている。イラン側は通航料ではなくサービス提供の対価だと説明しているが、この位置付けは今後の協議で重要な争点となる。海峡の通航再開、安全管理、権限の範囲、費用負担をどう整理するかが、停戦交渉の進展を左右する。

核問題と60日間協議も並行

海峡問題と並び、核開発計画も大きな争点である。米国は、イランが核爆弾を製造しようとしているとの見方を示している。イランはこれを否定し、自国の原子力計画は平和目的に限られると主張している。

双方は、戦争を停止し、交渉担当者に60日間の猶予を与える覚書について進展があったとしている。この期間中に核問題の見直しと交渉が行われる可能性が示されている。イラン側は初期合意案に核計画の約束は含まれないとしている一方、米国側は高度濃縮ウランの処分に関する理解を示しており、ここでも説明の隔たりがある。

課金問題が合意形成の障害に浮上

ホルムズ海峡の課金問題は、単なる費用負担にとどまらない。イランは沿岸国として安全確保に関わる費用を求める立場を示し、米国はその方針に反発している。国際海峡の通航をめぐる法的な扱いと、実際の管理権限の範囲が交渉上の焦点となっている。

戦争終結へ向けた協議では、核問題、弾道ミサイル、制裁解除、凍結資産の解放も未解決のままである。イランは海外銀行に凍結された数百億ドル規模の原油収入の解放を求め、戦争被害への賠償も要求している。海峡課金をめぐる対立は、こうした複数の争点と絡み合い、最終合意に向けた調整をさらに複雑にしている。

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