国債評価損とETF評価益の対比が鮮明になる
日本銀行の2026年3月期決算では、国債とETFの評価が大きく分かれた。保有国債では45兆4414億円の評価損が生じ、過去最大となった。一方、保有ETFでは株高を背景に57兆657億円の評価益が計上された。
この対比は、日銀が大規模金融緩和期に取得した資産の性質を映している。国債は金利上昇で価格が下がり、ETFは株価上昇で含み益が拡大した。金融市場の動きが日銀の保有資産に異なる形で表れた。
簿価と時価の差が大きく広がる構図が明確に
日銀が3月末時点で保有する国債は、簿価で530兆8695億円だった。時価換算では485兆4280億円となり、差額が評価損として示された。国債価格の下落により、帳簿上の価格と市場価格の開きが拡大した。
背景には、日銀の利上げや財政悪化への懸念を受けた長期金利の上昇がある。金利が上がると、すでに発行された国債の価格は下がる。今回の決算では、その影響が数値として明確になった。
買い入れ減額で国債残高の縮小が進む状況
日銀は金融正常化の一環として、国債買い入れの減額を進めている。2026年3月末の保有国債残高は、簿価ベースで前期から約45兆円減少した。減少率は7.8%とされる。
大規模緩和期に積み上げた国債保有は、政策転換後に縮小へ向かっている。ただ、残高は依然として大きく、金利変動の影響を受けやすい状況にある。残高縮小と評価損拡大が同時に進んだ点が、今回の決算の特徴である。
ETF売却では市場安定への配慮が課題となる
ETFについては、保有残高が37兆1214億円となった。株価上昇により評価益は拡大しているが、日銀は売却を進めている。売却ペースは年間3300億円程度とされる。
ETFは株式市場と直接関係する資産であるため、処分の進め方には慎重な対応が必要となる。日銀は市場の混乱を避けながら売却を続ける必要がある。評価益が大きい一方で、出口戦略の運営が課題として残る。
金利上昇下で日銀の運営説明が焦点となる
日銀は、国債を満期まで保有する前提であるため、時価評価は財務に影響しないと説明している。途中売却を前提としない限り、評価損は直ちに実現する損失ではない。こうした説明は、国債評価損の拡大を受けて重要性を増している。
一方、金融政策の正常化が進む中で、保有資産の評価は市場の関心事項となる。国債の評価損とETFの評価益が同時に示された今回の決算は、日銀の資産構成を確認する機会となった。金利上昇局面では、保有国債の時価評価と資産圧縮の進め方が引き続き焦点となる。