新型AI提供先拡大で重要インフラ防衛に活用広がる

浅川 涼花
经过

提供対象拡大で日本も利用可能に

米アンソロピックが開発した新型AIモデル「クロード・ミュトス」の提供先が広がり、日本政府と一部の国内銀行が利用できるようになった。片山さつき金融担当大臣が6月2日夜、記者団に説明した。アンソロピックは、これまで提供先をおよそ50の企業や組織に限定していたが、新たに約150の企業・組織へ対象を拡大した。日本側の利用開始は、先端AIを重要システムの防衛に用いる取り組みの一環となる。

金融システムのリスク対策が焦点

クロード・ミュトスは高い性能を持つAIモデルであり、サイバー攻撃に転用された場合、金融システムなどに大きなリスクを生むとされている。銀行のシステムは社会インフラとしての性格を持ち、障害や侵入が発生すれば広範な影響につながる。今回、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行の3メガバンクが利用する見通しとなった。各行は、攻撃を受ける前に弱点を見つけ、修正につなげる対応を進める。

日米協議を経て取得の道筋整備

アクセス権の取得に先立ち、日米の財務相間で利用に向けた道筋が付けられていた。片山金融担当大臣は、金融分野が日本の成長産業の一つであるとの認識を示し、米国の金融トップと同程度のサイバーセキュリティを備えることへの期待を表明した。政府と金融機関が同じ先端AIにアクセスできる環境は、国内の安全対策をそろえるうえでも意味を持つ。国際的な技術連携が、金融防衛の前提として重みを増している。

電力や通信などにも提供拡大

アンソロピックによると、今回の提供先拡大は15以上の国などに拠点を置く企業や組織を対象としている。これまで十分にカバーしていなかった電力、水道、医療、通信などの分野も含まれる。これらの業界は、サイバー攻撃が成功した場合に社会機能へ深刻な影響を与える可能性がある。クロード・ミュトスを活用し、システムのぜい弱性を検知することで、重要インフラの安全確保につなげる狙いがある。

先端AIの管理と活用が課題

クロード・ミュトスへのアクセスには、アンソロピックが設定したセキュリティ要件を満たす必要がある。高度なAIを防御に使う一方で、悪用を防ぐための管理も欠かせない。メガバンク3行はオープンAIの最新モデルも利用できる状態にあり、複数の技術を組み合わせた防衛体制の構築が求められる。日本政府と金融機関にとって、今回の利用開始は技術導入の出発点であり、実効性ある運用へつなげることが今後の課題となる。

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