急落後の反動買いが市場を押し上げ
9日の東京株式市場では、日経平均株価が前日比924円80銭高の6万7743円85銭で取引を終えた。4営業日ぶりの上昇で、8日までの3日間に2900円超下落していた反動から、割安感の出た銘柄を買い戻す動きが強まった。取引時間中には上げ幅が1600円を超える場面もあった。
前日までの下落では、米ハイテク株安や中東情勢への警戒が重荷となっていた。9日はその流れがいったん反転し、投資家のリスク回避姿勢が和らいだ。相場全体の基調が一気に強まったというより、短期間の急落を受けた自律反発の性格が目立った。
米ハイテク株堅調が買い戻し誘発
東京市場の買い材料となったのは、前日の米国株式市場におけるハイテク株の堅調な動きだった。米アップルが米半導体大手からの部品調達に向けた投資拡大を発表し、半導体市場の成長期待が広がった。これを受け、米国市場では半導体関連株が上昇し、日本市場にも買いが波及した。
フィラデルフィア半導体株指数は2%を超える上昇となり、東京市場ではAIや半導体に関係する銘柄が相場の中心になった。米エヌビディア株の上昇も関連銘柄の買いを後押しした。国内では、電子部品や半導体製造装置関連の値上がりが目立ち、相場の反発を支えた。
指数寄与度の高い銘柄に資金集中
日経平均を押し上げたのは、指数への影響が大きい一部の銘柄だった。アドバンテスト、東京エレクトロン、キオクシアの3銘柄は、日経平均を約900円押し上げた。AI向け半導体への需要拡大期待が、関連銘柄への資金流入を促した。
一方で、相場の上昇は全体に広く及んだわけではなかった。東証プライム市場では値上がり銘柄数が585で、全体の4割近くにとどまった。値下がりは917、横ばいは56となり、指数の大幅高とは異なる市場内部の弱さも示された。リクルートは連日で上場来高値を更新したが、ファーストリテイリング、テルモ、トヨタは下落した。
原油と金利の上昇が重荷に
相場の上値を抑えた要因の1つは、中東情勢を巡る警戒感だった。米軍によるイランへの追加攻撃は日本時間9日昼ごろまでに完了したとされたが、緊張そのものは市場の不安材料として残った。原油先物価格は8日に一時1バレル76ドル台まで上昇し、エネルギー価格への警戒が意識された。
長期金利の上昇も株式市場に重くのしかかった。9日午後の国内債券市場では長期金利が一時2.900%となり、1996年9月以来の高水準を付けた。金利上昇は株式の投資魅力を相対的に低下させるため、買い一巡後の利益確定売りを誘った。ハイテク株の一角にも上昇後の売りが出て、日経平均は大引けにかけて伸び悩んだ。
決算確認まで慎重姿勢残る展開
TOPIXは13.94ポイント高の4020.37となり、3日ぶりに反発した。出来高は19億7705万株で、東証プライム市場の売買代金は概算で9兆6014億円だった。JPXプライム150指数も9.55ポイント高の1680.27で取引を終えた。
市場ではなお慎重な見方が根強い。10日にはETFの分配金支払いに備えた売却需要が想定されており、需給悪化への警戒感が残る。加えて、7月後半以降に日米の半導体関連企業の決算発表が相次ぐため、今回の買い戻しが継続的な上昇につながるかは、業績内容を見極めたうえで判断される。日経平均は大きく上昇したが、AI・半導体への期待と、金利上昇、原油動向、需給不安が同時に意識される相場となった。