9月の住宅ローン金利に相次ぐ引き上げ
9月から大手銀行の住宅ローン金利が一段と上昇する。三菱UFJ銀行と三井住友銀行は変動型住宅ローンを引き上げ、大手5行では固定型の金利もそろって上昇する。新たに住宅を購入する人だけでなく、すでに住宅ローンを返済している契約者にも影響が広がる局面となった。
背景にあるのは、日銀による金融政策の変更と市場金利の上昇だ。日銀は6月、政策金利を0.75%程度から1.0%程度に引き上げた。これを受け、銀行が融資金利の基準を見直す動きが住宅ローンにも波及している。
変動型の最優遇金利は2行とも1%超
三菱UFJ銀行は9月から、新規契約者に適用する変動型住宅ローンの最優遇金利を0.25ポイント引き上げ、年1.195%とする。三井住友銀行も0.25ポイント上げ、最も低い適用金利を年1.525%とした。
両行は変動型の基準金利についても年3.375%へ引き上げる。住宅ローンでは借り手の条件などに応じて基準金利から一定幅を差し引くため、実際に支払う金利は契約者ごとに異なる。
変動型住宅ローンは短期プライムレートなどに連動して見直される仕組みとなっている。そのため、政策金利の上昇を受けて銀行の短期融資に関する金利水準が変われば、住宅ローンにも順次影響が及ぶ。
据え置き3行も今後の見直しが焦点
9月の変動型について、みずほ銀行、三井住友信託銀行、りそな銀行は金利を変更しなかった。ただ、今後も現在の水準が維持されるとは限らず、10月以降に見直しを検討する公算が大きい。
三菱UFJ銀行と三井住友銀行では、新規契約者だけでなく既存利用者にも新たな金利水準を反映する。適用開始は秋ごろとなり、三菱UFJ銀行では早ければ11月から既存契約者の変動金利が上がる見通しだ。
日銀が9月以降に追加利上げを実施した場合には、銀行の住宅ローン金利にもさらなる上昇圧力が加わる可能性がある。今後は今回据え置いた3行を含め、大手銀行各行の対応が注目される。
10年固定も全5行で高い金利水準へ
固定型住宅ローンでは、大手5行がそろって基準金利を引き上げた。基準金利は年5.55~6.59%となり、10年固定で最も優遇される場合の金利は年3.450~4.195%となる。
固定型の金利に影響する長期金利が上昇していることが主な要因だ。長期金利は財政悪化への懸念などから上向く状況が続き、住宅ローンの固定型にもその変化が反映されている。
短期金利の動向を受けやすい変動型と、長期金利を基準とする固定型の双方で引き上げが進んだことで、住宅購入時の借入条件は従来より厳しくなっている。金利上昇の影響は幅広い住宅ローン商品に及び始めた。
新規と既存の双方で返済負担増に警戒
住宅ローン金利の上昇は、新規の借り手には毎月の返済額や総返済額を左右する要因となる。既存の変動型契約者についても、銀行による金利見直しが反映されれば、これまでより利息負担が大きくなる。
一方で、金利上昇は銀行預金の利息増加など、預金者側にはプラスに働く。しかし住宅ローンを抱える家計にとっては、借入金利が高くなることで負担が増す方向となる。
今回、2行が変動型を引き上げ、5行すべてが固定型を引き上げたことで、住宅ローン市場は明確な金利上昇局面に入っている。今後の金融政策や市場金利の動向とともに、既存契約者を含む家計への影響が引き続き焦点となる。