世界平均気温1.5度超へ UNEPが数年以内の到達を予測し対策強化要請

橘 美月
经过

世界の気温が新たな水準に近づく見通し

国連環境計画(UNEP)は9月2日、世界の平均気温が今後数年以内に、産業革命前と比べて1.5度を超えて上昇するとの見通しを盛り込んだ報告書を公表した。国際社会が地球温暖化対策の重要な目安としてきた水準を上回る可能性が高まっている。UNEPは気温上昇によって極端な気象現象や海面上昇、生態系への影響などが一段と深刻になるとして、各国に対応の加速を求めた。

パリ協定が掲げる1.5度目標に厳しい現実

日本を含む約190の国や地域が参加するパリ協定は、世界の気温上昇を1.5度に抑えることを重要な目標としている。しかし報告書は、今後数年でこの水準を上回るとの予測を示した。1.5度を超えると、異常気象による災害や健康被害の危険性が高まり、海面上昇によって小さな島々が水没するリスクも増す。UNEPは超過する期間を可能な限り短くする必要があると強調している。

現在の政策継続なら2100年に2.6度上昇

報告書によると、現時点で実施されている温暖化対策を前提とした場合、世界の平均気温は2100年までに産業革命前から約2.6度上昇する見通しとなっている。これは1.5度の目標を大きく上回る水準となる。各国が現在掲げている対策だけでは、長期的な気温上昇を十分に抑えることが難しい状況が示された形だ。温室効果ガスの排出削減をさらに進める必要性が改めて浮き彫りとなった。

排出実質ゼロを実現しても約1.8度上昇

各国がパリ協定に基づく温室効果ガスの削減目標をすべて達成し、21世紀半ばごろまでに世界全体で排出量と森林などによる吸収量を差し引き実質ゼロにした場合でも、平均気温は約1.8度上昇すると推計されている。目標の達成だけで1.5度以内に収めることは困難との見通しだ。一方、1.5度を一時的に上回った後でも、十分な対策を継続すれば気温を再び低下させることは可能だとしている。

今後10年の排出削減が温暖化対策の焦点に

UNEPは、化石燃料への依存を減らし、再生可能エネルギーへの移行を進めるなど、今後10年以内に速やかで継続的な措置を講じる必要があると訴えた。インガー・アンダーセン事務局長は、気候変動への取り組みを諦めず、対策に力を注ぐべきだとの認識を示している。国連のグテレス事務総長も、10年前に掲げた目標の達成が困難になっているとして、化石燃料からの転換や再生可能エネルギーの拡大を求めた。1.5度を超える期間を短縮できるかどうかが、今後の国際的な温暖化対策の重要な課題となる。

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