飲食料品消費税ゼロ法案提出へ高市首相が党首討論で方針示す

小野寺 佳乃

物価高対策をめぐる論点が集中

高市首相は5月20日に開かれた党首討論で、飲食料品の消費税ゼロに関する法案を提出する考えを示した。超党派の「社会保障国民会議」が夏前に中間とりまとめを行った後、政府として関連法案を国会に提出する方針だ。高市首相は実施時期について、できるだけ早く進める必要があるとの認識を示した。

この日の党首討論は今国会で初めて行われ、高市首相と野党6党首が1対1で論戦を交わした。中東情勢による物価や資材供給への影響、外交課題、外国人政策、AIの活用などが取り上げられた。特に生活費の上昇に対する支援策は、複数の党首から質問が出る中心的な議題となった。

消費税ゼロと税額控除を重視

公明党の竹谷代表は、イラン情勢が生活に影響を及ぼしつつあると述べ、6月に多くの品目で値上げが見込まれることを踏まえ、政府の具体策を求めた。高市首相は、昨年度の補正予算がまだ十分に行き渡っていないとして、まずは早期執行を進める考えを示した。加えて、飲食料品の消費税率ゼロと給付付き税額控除の早期実施に取り組むと述べた。

飲食料品の消費税ゼロについては、2年限定の制度として議論されている。高市首相は、国民会議での議論を踏まえて政府案を固める考えを示した。生活必需品にかかる税負担を軽くする政策として、今後の制度設計や法案提出の時期が焦点となる。

補正予算案で生活支援を検討

中東情勢への対応では、2026年度補正予算案の編成も主要な論点となった。国民民主党の玉木代表は、燃料費や光熱費への対策を含む3兆円程度の補正予算案を速やかにまとめるべきだと主張した。高市首相は、国民生活と経済活動へのリスクを小さくする観点から、補正予算案を含む資金調達を指示したと説明した。

政府が実施しているガソリン価格抑制策についても質問が出た。高市首相は、1リットル当たり170円程度に抑える支援策について、基金の残高を見ながら対応すると述べた。中東情勢の影響が続く期間を見極めながら、必要な支援を判断する考えを示した。

外交と外国人政策にも質問相次ぐ

外交では、米中首脳会談の評価が取り上げられた。立憲民主党の水岡代表は、米中の接近によって日本の利益が後回しにされる懸念がないかをただした。高市首相は、米中が意思疎通を図り、地域の平和が維持されることは重要だとして歓迎する姿勢を示した。

日中関係については、日本側の対話の窓口は常に開いていると説明した。各レベルでの対話を続けていると述べ、国益を最大化するため冷静に対応する必要があるとした。外国人政策をめぐっては、参政党の神谷代表が外国人労働者受け入れの上限検討を求めた。高市首相は、在留管理の適正化や在留資格のあり方を検討すると述べた。

AI活用とリスク管理の両立示す

AIに関する議論では、チームみらいの安野党首が、日本の将来を左右する重要な政策課題としての位置づけをただした。高市首相は、検索や翻訳などでAIを利用していると説明したうえで、自動運転や医療支援といった分野で活用の余地があると述べた。技術を社会や産業の成長につなげる必要性にも言及した。

一方で、高市首相はAIにはリスクもあると述べた。各国政府や米国の大手IT企業と情報交換を行いながら、リスクを最小化する対応を進めていると説明した。今回の党首討論では、生活支援を中心に、経済、外交、社会制度、技術政策まで幅広い課題への政府の姿勢が示された。

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