8月の企業倒産827件に増加、物価高と金利上昇が収益を圧迫

小野寺 佳乃

全国の企業倒産が3カ月連続で前年水準を上回る

2026年8月に全国で発生した企業倒産は827件となり、前年同月の751件から76件増加した。増加率は10.1%で、前年の同じ月を上回るのは3カ月連続となった。6月と7月は1000件を超えていたため件数自体は減ったものの、8月として800件台に達したのは2012年の851件以来14年ぶりで、倒産は高い水準で推移している。

帝国データバンクの集計対象は、負債1000万円以上を抱え、法的整理の手続きを取った企業などとなる。企業経営を取り巻くコスト環境が厳しさを増すなか、倒産件数の増加傾向が続いている。

サービス業や建設業を中心に倒産件数が高水準

業種別で最も倒産が多かったのはサービス業で223件だった。次いで建設業が182件、小売業が178件となり、これらの分野で倒産が目立った。幅広い企業で仕入れや事業運営に必要な費用が上昇し、収益確保が難しくなっている。

帝国データバンクは、円安や原油価格の上昇などを背景とした物価高が企業収益を圧迫していると分析する。特に上昇したコストを販売価格へ十分に反映できない企業では、利益を確保しにくい状態が続いている。

負債総額は1406億円超となり6カ月連続で増加

8月の倒産企業が抱える負債総額は1406億9200万円だった。前年同月の1129億3600万円と比べて24.6%増え、前年水準を超えるのは6カ月連続となった。倒産件数だけでなく、企業が抱える負債規模も前年より大きくなっている。

大型の倒産も複数発生した。ゴルフ場を運営していた東京グリーンは負債155億円、ゲームアプリ開発などを手がけたオッドナンバーは107億2700万円の負債を抱えて破産し、8月には負債100億円を上回る倒産が4件あった。

価格転嫁率低下でコスト上昇への対応力に差

企業の負担を押し上げている要因の1つが輸入コストの上昇だ。2026年初めから円相場は1ドル=155~160円台で推移する局面が続き、1~8月に発生した円安関連の倒産は56件と、前年同期の45件を11件上回った。6~8月だけでも25件に達している。

コスト上昇分を販売価格へ反映できた割合を示す価格転嫁率は8月時点で39.9%だった。2026年2月の42.1%から2.2ポイント低下しており、仕入れ価格の上昇に値上げが追いついていない状況が示された。原油高や資源価格の上昇も企業収益への圧力を強めている。

年間倒産1万件超の見通しで企業負担が焦点に

物価高に加え、金利上昇も企業経営の重荷となっている。借入金利が上がれば、資金調達を借入に依存する企業ほど支払利息が増えるため、利益を圧迫する要因となる。企業からも金利負担の増加を指摘する声が出始めている。

2026年1~8月の企業倒産は累計7199件となり、前年同期を489件上回った。このペースが続けば、年間の企業倒産は前年に続いて2年連続で1万件を超える見通しとなる。物価や調達費、金利など複数のコストが上昇するなか、販売価格への転嫁と収益確保が企業経営を左右する状況が鮮明になっている。

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