欧州で水素商用車の普及に向けた連携を強化
トヨタ自動車は9月15日、欧州で水素燃料電池を使う商用車の普及を進めるため、自動車メーカーや部品会社、エネルギー関連企業など7社との協力を強化すると発表した。車両だけでなく、水素の供給や充填を含めた利用環境を整備し、商用分野で水素を使いやすくすることを目指す。燃料として利用する際のコストを軽油と同程度の水準に近づけることも重要な取り組みとなる。
今回の枠組みには、トヨタのほかダイムラートラック、ボルボ、ボッシュなどが参加する。それぞれが持つ車両技術や部品、エネルギー供給の知見を組み合わせ、水素を利用する大型商用車の導入を後押しする。
トヨタはFC部品や水素充填技術を提供へ
トヨタは連携の中で、燃料電池システムに関する部品や水素を車両へ充填するための技術を提供する。燃料電池車を長年開発してきた技術基盤を商用車にも活用し、欧州での水素利用拡大につなげる方針だ。
ダイムラートラックは2026年末以降、次世代の燃料電池トラック100台を投入する計画を示している。車両の導入とインフラ整備を同時に進めることで、水素燃料電池トラックを実際の物流や輸送現場で利用できる環境の形成を図る。
大規模水素ステーションへの投資も進展
エネルギー事業者側では、多数の商用車に対応できる水素供給拠点への投資が進んでいる。計画されている水素ステーションは、1日当たり最大100台への供給が可能な規模となる。大型トラックなどが継続的に利用するためには安定した供給能力が必要となるため、インフラ整備は車両普及と並ぶ重要な柱となる。
トヨタなどの参加企業は、車両、燃料電池システム、充填設備、水素供給をそれぞれ個別に整えるのではなく、関連企業が連携して環境を構築することで、水素商用車の導入を進める。
欧州では2030年へ水素供給網拡大を計画
欧州では、産業や輸送分野で再生可能エネルギー由来の水素を利用するための制度整備が進められている。主要幹線道路では、およそ200km間隔で水素ステーションを設けることが求められており、長距離輸送でも水素を利用できる環境づくりが進む。
水素ステーションは2025年末時点の186か所から、2030年には650か所まで増やす目標が掲げられている。輸送網に沿った供給拠点が増えれば、水素を燃料とするトラックを運用できる地域も広がることになる。トヨタによる企業間連携も、こうした欧州のインフラ拡大と並行して進められる。
商用車から水素社会の実現を目指すトヨタ
トヨタの中嶋裕樹副社長は9月15日の発表で、日本で積み重ねてきた技術や知見を活用し、水素を利用する社会の形成をさらに進める考えを示した。今回の取り組みでは、特定の車種を投入するだけでなく、水素を安定して供給できる仕組みまで含めて整備する点が特徴となる。
長距離走行や大型車両が多い商用輸送分野で水素燃料電池車を広げるには、車両と供給設備の双方を拡大する必要がある。トヨタは欧州各社との協力を通じ、燃料電池技術とインフラ整備を組み合わせながら、水素を商用車の動力源として普及させる取り組みを進める。