岩井コスモ証券で不正売買が成立、サイバー攻撃で顧客情報4975人分も漏えいが判明

河本 尚真
经过

岩井コスモ証券への攻撃で顧客口座に不正取引が発生

岩井コスモ証券は10月20日、インターネット取引に関係する売買管理システムが外部から攻撃を受け、複数の顧客口座で本人が指示していない注文が発生したと発表した。問題が起きたのは14日で、7口座に不正な注文が出され、そのうち5口座で実際に取引が成立した。

同社は問題を把握した14日のうちに対象となる顧客へ個別に連絡し、成立した取引についても攻撃前の状態に戻す対応を実施した。この措置によって、顧客が不正売買に伴う金銭的負担を負う事態は回避された。

今回の攻撃では、顧客自身の操作によらず証券取引が実行された点が特徴となっている。問題が確認されたのは、同社が外部企業に運用や保守を委託していたシステムだった。

外部委託先への不正アクセスで情報流出も確認

不正な売買注文が発生した14日には、別の被害として顧客情報の漏えいも確認された。攻撃を受けたのは、岩井コスモ証券のオンライン取引システムを管理するトレードワークスである。

同社は16日の段階で4611人分の個人情報が流出したと公表していた。その後の確認作業で新たに364人分が判明し、漏えい対象は合計4975人に拡大した。

流出した情報には、顧客の氏名やメールアドレスなどが含まれていた。一方、証券取引に使用する暗証番号は対象外であり、漏えいした情報だけで口座へのログインや金融商品の売買を行うことはできないと説明している。

また、顧客情報の流出と不正な注文は同じ14日に発生したものの、漏えい情報が売買操作に利用されたものではないことも明らかにした。

不正売買の公表を遅らせた経緯と安全対策の完了

岩井コスモ証券は16日に個人情報の流出を公表した一方、顧客口座で発生した不正取引については、その時点で公表していなかった。

同社の説明では、当時は攻撃への対処を進めている段階であり、必要な安全対策が完了していなかったことが理由だった。対象顧客への連絡は14日に実施していたが、一般向けの説明は対応が整うまで見送っていた。

その後、システムへの侵入につながった原因の特定と修正を終え、20日に不正売買の発生を正式に発表した。

現在、ネット取引システムは正常な運用状態に戻っており、顧客は通常通りサービスを利用できる。今回の対応では、不正注文への処理とシステムの安全性を回復する作業が並行して進められた。

金融庁が他の証券会社への被害拡大を調査

今回の事案を受け、金融庁は21日、他の証券会社に同様の問題が生じていないか実態把握に着手した。

調査の背景には、攻撃対象となったトレードワークスが岩井コスモ証券以外の金融機関にも取引関連システムを提供している事情がある。金融庁は、同社のサービスを利用する証券会社に対し、被害の有無などを聞き取ったとされる。

今回のサイバー攻撃については、AIが利用された可能性も指摘されている。ただし、AIの使用が確認されたわけではなく、攻撃の具体的な手法に関する詳細は明らかになっていない。

トレードワークスも他の金融機関向けシステムを点検したが、同様の侵入被害は確認されていないとしている。

システム復旧後も監視継続と再発防止策を強化

岩井コスモ証券は、問題となったシステムの修正を完了し、通常の取引環境を回復させた。顧客口座で成立した不正売買についても原状回復が済んでおり、利用者に費用負担は発生していない。

今後はシステムの運用会社であるトレードワークスと協力し、継続的な監視や安全点検を実施する方針だ。あわせて、情報管理の仕組みを見直し、同種の侵入を防ぐための対策を強化する。

金融庁による確認作業も進められており、調査対象は今回の被害を受けた証券会社だけにとどまらない。金融機関が共通して利用する外部システムへの影響についても確認が行われている。

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