マスク氏が米国の子ども全員にスペースX株贈与へ、総額1.7兆円の大型計画を発表

嶋田 拓磨
经过

マスク氏、2027年に米国の子どもへ株式贈与を計画

米実業家のイーロン・マスク氏は10月19日、米国の子どもを対象に、自身が保有する宇宙・人工知能(AI)企業スペースXの株式を無償で提供する計画を明らかにした。対象となる子どもに1株ずつ配布する方針で、2027年の実施を予定している。

マスク氏は自身のSNS「X」に計画を投稿し、米国内の子ども全員にスペースX株を贈る意向を表明した。今回の取り組みについては、将来にわたって複数回実施する計画の最初の段階と説明している。

ただし、贈与を受けるための資格や株式の受け取り方法など、具体的な制度設計は示されていない。発表時点では、実施時期も2027年という説明にとどまっている。

対象人口は約7300万人で贈与総額は約107億ドル

米国勢調査局の統計では、国内に暮らす18歳未満の人口は約7,300万人に達する。この全員に1株ずつ配布する場合、必要となるスペースX株は約7,300万株となる。

同社株式の10月16日の終値は約146ドルだった。この価格を基準に計算すると、贈与総額は約107億ドルに上る。日本円では約1.7兆円に相当する規模で、個人による株式提供として巨額の計画となる。

一方、対象人口を約7,200万人とした場合の評価額は約106億ドルとなる。いずれの計算でも、株式の配布には100億ドルを超える資産が必要となる。

今回の発表では、年齢以外の条件や対象となる子どもの範囲について詳細な説明はなく、全員への配布をどのように実現するかは明らかになっていない。

スペースXは6月に上場し企業価値2兆ドルに到達

贈与対象となるスペースXは、マスク氏が率いる米国の航空宇宙・AI企業である。同社は2026年6月、過去最大規模となる新規株式公開(IPO)を実施し、公開市場での株式取引を開始した。

企業価値は約2兆ドル、日本円で約317兆円に達している。上場によって株式の市場価格が形成され、今回の贈与計画についても株価を基準とした金額の算定が可能となった。

マスク氏自身も巨額の資産を保有している。10月19日時点の個人資産は9,000億ドルを超え、世界の富豪ランキングで首位となっている。

今回の計画では、マスク氏個人が所有する株式を子どもに提供すると説明しており、企業が新たに株式を発行するとの発表ではない。

子ども向け資産形成制度との連携が焦点に浮上

株式の贈与には、トランプ政権が創設した子ども向けの資産形成制度「トランプ口座」が活用されるとみられる。

米財務省は10月、18歳未満の数百万人を同制度に自動登録した。2025年初めから2028年末までに生まれた子どもについては、政府が1人当たり1,000ドルを拠出する仕組みが設けられている。

マスク氏による株式贈与でも、この制度が利用されるとみられている。ただし、口座への株式移管や受給資格の確認など、具体的な手続きは公表されていない。

制度への登録状況と株式の受け取り条件がどのように結びつくのかも未発表であり、実際の配布方式に関する説明が残されている。

初回の株式配布に続く追加贈与の意向も明らかに

マスク氏は2027年の計画を単発の取り組みとは位置づけていない。今回の発表では、同様の株式提供を今後も実施する意向を明確にしている。

スペースXでは、グウィン・ショットウェル社長とその夫も2026年7月、子ども約200万人に同社株を1株ずつ寄付する計画を発表している。対象にはトランプ口座への登録者が含まれ、低所得世帯や同社の拠点があるテキサス州の子どもを優先する方針だ。

マスク氏の新たな計画は、これを大幅に上回る人数を対象としている。一方、既存の寄付計画との関係や株式配布の重複については説明されていない。

2027年の実施に向けて、対象者の確定、株式の移転方法、資産運用制度との連携など、詳細な条件の公表が待たれる。

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