円相場は159円近辺で小幅上昇、米金利低下と中東交渉期待が材料

河本 尚真
经过

159円台近辺で円高方向の取引が続く

21日の東京外国為替市場で円相場は小幅に上昇し、夕方時点で1ドル=159円00〜04銭近辺で推移した。前日と比べて円高・ドル安方向に振れたものの、値幅は限られた。市場では複数の材料が交錯し、円を大きく買い進める展開には至らなかった。

円は一時、158円81銭近辺まで上昇した。米長期金利の低下を受け、日米の金利差縮小を意識した取引が円買いにつながった。ただ、159円を大きく上回って円高方向に進む勢いは続かず、終盤にかけては159円ちょうど近辺での動きとなった。

米長期金利低下が円買いの要因に

前日の米国市場では、米長期金利の指標となる10年物国債利回りが低下した。これにより、ドルを買う理由となっていた日米金利差の拡大観測がやや後退し、円買い・ドル売りが入りやすい地合いとなった。為替市場では金利差が通貨選好に影響しやすく、今回も米金利の動きが円相場を押し上げる一因となった。

このところ米長期金利の上昇が目立っていたため、低下に転じたことは市場参加者の判断材料となった。金利面からドルの優位性がやや薄れたことで、円は対ドルで下げ止まる動きを見せた。ただし、円高の進行は限定され、積極的な円買いは広がらなかった。

中東交渉への期待でドル買いが後退

米国とイランの戦闘終結に向けた交渉への期待も、円相場を支える材料となった。トランプ米大統領は20日、イランとの交渉が「最終段階に入っている」と述べた。両国間の合意に向けた期待が市場で意識され、緊張時に強まりやすいドル買いを解消する動きが出た。

同日の米原油先物相場は下落して取引を終えた。中東情勢の緊張緩和が進むとの見方が広がれば、原油供給への警戒感が和らぎ、金融市場全体のリスク認識にも影響する。為替市場では、これまで進んでいた「有事のドル買い」が一部巻き戻され、円買いにつながった。

中東リスクと財政懸念が重荷に

一方で、米国とイランの交渉の先行きには不透明感が残った。トランプ氏は交渉に関し、「合意するか、そうでなければ少し厄介な手段に出る」とも述べている。イラン側の対応次第では再び緊張が高まる可能性が意識され、円をさらに買う動きは限られた。

原油価格も米国によるイラン攻撃前と比べると高い水準にある。供給不安が続けば、エネルギーを輸入に依存する日本の交易条件が悪化するとの見方が円の重荷となった。さらに、政府が検討する令和8年度補正予算案を巡り、財政悪化への懸念から円売りも出たため、相場全体の値動きは小幅にとどまった。

日銀審議委員発言への反応は小幅

日銀の小枝淳子審議委員は21日、福岡県金融経済懇談会であいさつし、基調的なインフレ率について「中東情勢を受けて2%を超えてくる可能性もある」と述べた。今後の政策金利については、適切なペースで引き上げながら、経済への影響にも配慮する必要があるとの考えを示した。

ただ、市場では小枝氏の発言を受けた大きな反応は見られなかった。対ユーロでは円が反落し、夕方時点で1ユーロ=184円54〜62銭近辺で推移した。ユーロは対ドルで上昇し、為替市場ではドル、円、ユーロの間で材料ごとに異なる値動きが見られた。

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