原油価格上昇の背景に報復攻撃が浮上
5月28日のアジア時間の原油先物は、米イラン間の軍事的緊張を受けて3%超上昇した。イランのイスラム革命防衛隊が、米軍による攻撃への報復として米空軍基地を攻撃したと発表したことが材料となった。市場では、ホルムズ海峡周辺の安全確保と原油供給への懸念が改めて意識された。
北海ブレント先物は日本時間午後0時44分時点で3.51ドル高となり、1バレル=97.80ドルを付けた。取引がより活発な8月限も上昇し、95.60ドルとなった。米WTI先物は3.31ドル高の91.99ドルまで上げた。
前日は、戦争終結とホルムズ海峡の通航再開に向けた合意への期待から、両指標が5%超下落していた。約1カ月ぶりの安値を付けた後、報復攻撃の情報で相場は反転した。外交協議への期待と軍事行動への警戒が、短期間で市場を大きく動かした。
米軍攻撃とイラン側の反発が対立を深める
米当局者は5月27日、米軍がイランで新たな攻撃を行ったと明らかにした。標的は軍事施設であり、ホルムズ海峡周辺で脅威となっていたイランの攻撃型無人機4機も撃墜したと説明した。米側は、行動の目的を停戦維持と自衛に位置付けている。
イラン側は、米軍がバンダルアッバス空港付近を攻撃したと主張した。革命防衛隊は、これに対する報復として米空軍基地を攻撃したと発表した。さらに、侵略が繰り返されれば一段と強い対応を取ると警告した。
米国は25日にも、自衛を理由にイランを攻撃したと明らかにしていた。機雷敷設を試みる船やミサイル発射基地が標的になった。イラン外務省は、米国の行動を非難し、攻撃の結果について米国が責任を負うとの立場を示している。
クウェートへの発射で停戦違反批判が強まる
米中央軍は5月28日、イランがクウェートに弾道ミサイルを発射したと発表した。米軍はこの行動を重大な停戦違反と批判した。ミサイルはクウェートが迎撃した。
米側によると、イランはホルムズ海峡で5機の無人機を発射した後、数時間を置いてミサイルを発射した。米軍は無人機5機を迎撃し、6機目の発射も阻止したとしている。米中央軍は、警戒を続けながら慎重な対応を維持していると説明した。
戦闘終結を目指す協議は続いているが、攻撃の応酬は停戦の不安定さを浮き彫りにしている。米側は軍事行動が局地的だと強調している。一方で、相次ぐ攻撃が協議の進展を妨げる要因となっている。
海峡周辺と周辺国で緊張の広がりが続く
ホルムズ海峡を巡る対立も続いている。イランのファルス通信は5月28日、ペルシャ湾への進入を試みた船舶を革命防衛隊が阻止したと伝えた。海峡周辺では、船舶の航行や安全確保を巡る不安が残っている。
5月26日には、英海事機関UKMTOがオマーン沖のタンカーで外部爆発が発生したと発表した。原因は不明で、乗組員は無事だった。ただし、燃料油の一部流出が確認された。
中東の緊張はレバノンにも及んでいる。イスラエル軍は5月28日、レバノンの首都ベイルートを攻撃した。レバノンでは4月17日に停戦が発効したが、その後もイスラエルと親イラン組織ヒズボラの攻撃が続いている。
未解決の対立点が停戦維持の重荷に
米イランの戦闘終結協議は、核開発やホルムズ海峡を巡る見解の違いで停滞している。米側は停戦が維持されると説明しているが、双方の軍事行動は継続している。協議の枠組みと現場の動きの間には大きな隔たりがある。
原油市場では、供給逼迫への懸念が残っている。ANZのコモディティーストラテジストは、主要な対立点が解消されていないと指摘した。米原油在庫も6週連続で減少しており、需給面の不安も価格上昇を支えている。
停戦が維持されるかどうかは、今後の攻撃抑制と協議の進展に左右される。現時点では、米イラン双方が自衛や報復を理由に軍事行動を続けている。ホルムズ海峡、クウェート、レバノンで相次ぐ動きは、中東情勢が依然として不安定な段階にあることを示している。