過去最高業績を背景に生産拠点の拡充を加速
台湾の半導体大手TSMCは、AI向け製品の販売増によって過去最高の四半期業績を達成すると同時に、日本と米国での生産基盤拡大を進める方針を鮮明にした。2026年4~6月期は売上高と最終利益がともに従来の最高水準を更新し、新たな設備投資を支える強固な収益基盤を示した。
半導体の需要が世界各地で拡大する中、同社は台湾以外の地域でも工場建設や生産能力の増強を進めている。今回の説明会では、米アリゾナ州への追加投資と熊本県の新工場整備に関する方針が示された。先端製品の供給体制を複数の地域に広げる取り組みが、業績発表と並ぶ重要な焦点となった。
最高益が大型設備投資を支える収益基盤に
TSMCが7月16日に発表した4~6月期の売上高は1兆2703億台湾ドルだった。前年同期と比べて36.0%増加し、日本円では約6兆4000億円規模となった。最終利益は77.4%増の7065億台湾ドル、日本円換算で約3兆5600億円に達した。
両項目は四半期決算として過去最大となり、大幅な増収増益を記録した。AI向けの高性能半導体が好調に推移し、収益拡大を主導した。先端半導体から得られる利益の増加は、海外における工場建設や製造設備への投資を進めるうえでも重要な基盤となっている。
アリゾナ州へ1000億ドルの追加投資を表明
魏哲家最高経営責任者は説明会で、工場建設を進める米西部アリゾナ州に1000億ドルを追加投資する計画を明らかにした。日本円では約16兆円に相当する大型投資となる。米国内における半導体の生産体制をさらに拡大し、顧客の需要に対応できる供給能力を整える。
TSMCはアップルやエヌビディアなどの企業を顧客に抱えており、高性能製品を安定的に供給する能力が事業の重要な要素となっている。アリゾナ州での投資拡大は、需要地に近い地域で製造能力を確保する取り組みの一環となる。具体的な追加投資額が示されたことで、米国事業を本格的に拡張する姿勢が明確になった。
熊本第2工場の早期立ち上げに向け整備急ぐ
日本での生産計画についても、魏CEOは新工場を可能な限り早期に立ち上げる意向を示した。対象となるのは熊本県で整備が進められている第2工場で、先端半導体を生産する計画となっている。TSMCは工場の建設と稼働準備を急ぎ、日本国内での製造能力を高める考えだ。
熊本の第2工場は、米国の生産拠点とともに海外供給網を支える施設に位置付けられる。AI分野を中心に高性能半導体の注文が増える中、台湾外の生産拠点を拡大することで、増大する需要への対応力を高める。説明会では、具体的な稼働時期には触れなかったものの、早期始動を目指す姿勢が示された。
需要増に対応する日米の供給体制構築進む
TSMCは7~9月期についても需要が堅調に続くと予測し、最先端の2ナノ半導体の量産拡大が業績を支えるとみている。AI関連市場の成長に伴い、高性能な半導体を安定的に供給するための製造能力がこれまで以上に求められている。日米での工場投資は、こうした需要環境に対応するための取り組みとなる。
過去最高の利益を確保した同社は、現在の収益を次の生産能力強化へ振り向ける方針を打ち出した。アリゾナ州では巨額の追加投資を行い、熊本県では第2工場の早期稼働を目指す。AI向け半導体と2ナノ製品の供給拡大を見据え、TSMCの生産体制は台湾を中心としながら日米へ広がりつつある。