農家と外食産業に広がる減税の影響へ政府対応
2027年4月から予定される食料品の消費税率引き下げをめぐり、政府・与党は税負担の変化によって影響を受ける業種への支援策を検討している。食料品の税率は2年間、現在の8%から1%へ下げる方針で、中低所得者には1%相当分を給付し、実質的な負担をゼロとする。減税の恩恵を消費者に届ける一方、生産者や外食事業者には新たな負担が生じるため、制度開始までに補完策を整える必要があるとしている。政府の基本方針では、1%分の税収に相当する年間約6000億円を現金給付に充てる考えも示されている。
中小農家の手取り減少を給付措置で支援する方針
農家では、販売時に受け取る税額が減る一方で、生産に必要な支出にかかる税率は変わらない。農産物の販売に伴う税相当額は7%分縮小するが、農機や肥料などの仕入れでは10%分の税負担が続く。この差によって手取りが減る中小農家を対象に、政府・与党は売上高を基準とした給付金を支給する案を検討している。木原官房長官は、仕入税額控除の還付が受けられない農業従事者への影響を確認し、過去の支援例も踏まえて予算編成の過程で対策を具体化する方針を示した。
外食店は価格差拡大を受け省力化支援策も検討
飲食店では、店内飲食と持ち帰り商品の税率差が拡大する。弁当や総菜などは1%になる一方、店内で提供する飲食は10%のまま据え置かれるため、持ち帰りとの価格差がこれまで以上に大きくなる。政府・与党は、客数への影響を抑える対応として、セルフレジなどを活用した省力化への支援や、持ち帰りサービスを導入する店舗への後押しを検討している。減税によって業態間の条件が変わることを踏まえ、外食産業への影響を和らげる措置を制度と合わせて整える考えだ。
新聞は8%維持で減税対象から除外する方向へ
減税対象は、現在の軽減税率が適用されている食料品を基本とする方向で調整が進むが、定期購読の新聞は扱いが異なる。週2回以上発行され、定期購読契約を結んだ新聞については、現行の8%を維持し、1%への引き下げ対象には含めない方針だ。また、事業者の実務負担を軽くするため、税込み価格の総額表示についても特例を設ける方向で検討している。値札の貼り替えなどをすぐに終えられない場合に限り、一定期間は新税率に対応した総額表示を行わなくてもよい仕組みが想定されている。制度変更の直前に作業が集中する小売現場の負担を抑え、税率切り替え時の混乱を避ける狙いがある。
財源確保は年末に持ち越し制度整備を継続する方針
政府・与党は9月半ばまでに税制改正大綱をまとめ、秋の臨時国会で必要な法案の成立を目指す。税率変更前に締結された定期販売契約などについては、混乱防止のため経過措置も設ける方針だ。一方、国と地方を合わせた減税規模は2年間で約10兆円に達する見通しで、穴埋めとなる財源策の具体化は年末の予算編成まで持ち越される。減税終了後の2029年度からは所得に連動した新たな給付制度を本格導入する計画で、短期の減税とその後の支援制度をつなぐ設計が進められる。