日銀の次回利上げ時期は経済・物価見通しとリスクを精査、氷見野副総裁が9月会合への明言を避け慎重判断へ

滝本 梨帆
经过

利上げ時期は見通しとリスク精査で慎重に判断

日銀の氷見野良三副総裁は8月27日の記者会見で、今後の利上げ時期やペースについて、経済・物価の中心的な予測が実現する可能性と各種リスクを確認しながら決める考えを示した。市場では9月の追加利上げ観測が強まっているが、氷見野氏は個別の金融政策決定会合で何を行うかについての明言を避けた。判断の基準として7月の展望リポートを挙げ、日銀が示してきた政策運営方針に沿って検討を続ける姿勢を明確にした。利上げの方向そのものは維持しつつも、次の政策変更を特定の日程と結び付けない立場を示した。

9月会合での具体的な政策変更には言及せず

日銀は9月17、18日に次回の金融政策決定会合を開く予定で、市場では追加利上げを見込む動きが進んでいる。一方、氷見野氏は市場の織り込み状況そのものにはコメントせず、特定の会合を前提に政策変更を予告することは適切ではないとの考えを示した。日銀は6月に政策金利を1.0%へ引き上げており、次の利上げの時期が市場の焦点となっている。氷見野氏は、会合の日程よりも、経済や物価のデータ、見通しの確度、上振れ・下振れ双方のリスクを総合して判断することが重要だと説明した。

7月展望リポートを今後の政策判断基準として重視

氷見野氏は、7月に公表した展望リポートの内容が今後の政策判断の基準になると説明した。同リポートでは、中東情勢、AI関連需要の拡大、為替相場の変動に加え、基調的な物価上昇率が2%を上回るリスクへの注意が示されている。氷見野氏はこうした要因を改めて列挙し、物価上昇がどの程度持続するかを確認しながら政策を決める方針を示した。物価上振れへの警戒が強まっていることについては、日銀の基本的な性格が変わったのではなく、基調物価を点検する中で注意すべき点が変化していると説明した。

植田総裁の利上げ加速論と基本的な方向性共有

植田和男総裁は7月の決定会合後、金融環境が緩和的すぎると判断すれば、利上げのペースを速めることも選択肢になるとの考えを示していた。氷見野氏は植田氏と基本的な認識を共有していると述べる一方、金融環境だけを見て政策金利を決めるわけではないと説明した。実質金利の多くがマイナス圏にあり、緩和的な状態が続いているとの認識は持ちながらも、物価、景気、為替、海外情勢など複数の材料を合わせて判断する構えだ。利上げの速度を機械的に決めず、状況に応じて調整する姿勢を示した。

景気認識を維持しつつ物価上振れ警戒を継続

氷見野氏は、7月の展望リポート公表時から経済・物価に対する認識は大きく変化していないと述べた。4〜6月期の実質GDPでは内需が弱めだったものの、経済全体に関する評価を修正する必要はないとの見方を示している。その一方で、原油高、AI関連需要、為替変動などを通じ、基調物価が2%を上回る可能性には引き続き注意を払う。日銀は景気判断を維持しながら物価の上振れリスクを丁寧に点検し、次の利上げのペースと時期を決める方針だ。市場の9月利上げ観測が強まる中でも、政策判断は事前の予告ではなく、見通しとリスク評価に基づいて行う姿勢が改めて示された。今後の判断材料を積み上げる姿勢が、今回の発言でも一貫して示された。

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