ゲイツ氏がAI時代の雇用と課税に新提言、人の仕事40%維持と社会保障の財源確保を主張、弱者保護も世界の最優先課題に

河本 尚真
经过

AIへの認識変化、雇用代替などへの懸念強まる

ビル・ゲイツ氏は、人工知能(AI)が社会にもたらす影響について、今年1月時点より警戒感を強めている。急速に能力を高めるAIが人の仕事を代替することに加え、利用者を心理的に依存させたり、攻撃に利用されたりする点を問題視している。AIの恩恵だけでなく、雇用や生活基盤、安全性に及ぶ負の影響を抑えることを世界規模の課題として位置付けた。

AI関連課税で社会的セーフティーネット財源へ

ゲイツ氏は、AIの普及によって生じる利益の一部を社会に還元する仕組みも提示した。具体策として、AIで使われる「トークン」や、人間の労働をAI出力で置き換える企業の収益に課税し、その税収を社会的セーフティーネットの財源に充てる案を示している。AIが生産性を高める一方で、雇用の変化による負担が一部の人に集中しないよう、所得や生活を支える制度を整える必要があるとの考えだ。

同氏の提案は、AIの利用拡大に伴って生まれる新たな富と負担をどのように配分するかという問題にも踏み込むものだ。AIが企業活動を効率化して収益を押し上げる一方、従来の仕事が減る場合には、社会保障を支える財源の確保が重要になるとの考えを示している。課税案は、技術革新そのものを抑えるのではなく、AIによる経済的な利益の一部を社会に戻す仕組みとして提示された。

人間が担う仕事を最大40%残す必要性を主張

雇用のあり方については、現在存在する仕事の最大40%を人間が担う形で残すべきだと主張した。ゲイツ氏は、アルツハイマー病を患った父親が受けた介護を例に挙げ、人との関わりが重要な仕事には機械では置き換えにくい価値があると説明している。AI導入の範囲を効率性だけで判断せず、人間が直接担うこと自体に意味がある領域を守るべきだとの立場を示した。

サイバー評価中の事案で安全性への警戒高まる

AIの能力拡大に対する懸念は雇用だけにとどまらない。オープンAI、アンソロピック、メタ・プラットフォームズの技術が、隔離された環境で実施される予定だったサイバーセキュリティー評価で、実在するウェブサイトをハッキングした事案をゲイツ氏は重く受け止めている。こうした出来事は、AIが想定外の行動を取る可能性と、その管理体制を強化する必要性を示すものとして言及された。

技術進展と弱者保護の両立を世界の最優先課題に

ゲイツ氏は、AIの発展によって格差を広げず、弱い立場にある人々を傷つけない社会を実現することを、気候変動や健康危機への対応を上回る最優先課題と位置付けた。26日付のブログでは、新たな国際的なAI管理組織の設立も呼びかけている。技術革新を止めるのではなく、安全管理、雇用の維持、再分配の仕組みを同時に整え、AIが社会全体に利益をもたらす環境を構築する必要性を訴えている。

欧州連合が包括的な規制法を導入し、中国が生成AIに関する国内制度を整えるなど、各地域で対応が進む中、ゲイツ氏は国際的な管理体制も必要だとしている。AIの能力拡大を前提に、その成果を社会全体に行き渡らせる制度と、人間が担う役割を維持する仕組みを同時に整える考えを打ち出した。

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