ブラジル当局がTikTokの年齢確認体制を是正要求 若年層800万人規模の個人データ処理を指摘し削除措置も命令

橘 美月
经过

TikTokの年齢確認の不備が規制強化の焦点に浮上

ブラジルでTikTokの年齢確認と未成年者保護を巡る運営体制が行政処分の対象となった。国家データ保護局(ANPD)は、TikTokを手掛ける中国企業バイトダンスが青少年の個人情報を適切な根拠なく処理したとして、1億5380万レアル規模の罰金を決定した。日本円では約47億円となる。

今回の処分では、単に未成年者がサービスを利用していたことではなく、事業者が利用者の年齢をどのように把握し、その情報をどの条件で取得・保存していたかが焦点となった。ANPDは年齢確認の仕組みに不足があったと判断し、利用者保護に向けた具体的な修正を求めている。

13〜18歳のデータ処理をブラジル当局が問題視

当局によれば、バイトダンスの現地法人は、13歳から18歳までの利用者について、有効な法的根拠が整わない状態で個人情報を処理していた。対象人数は調査期間中だけで最低800万人に上った可能性がある。規模の大きさからも、管理体制の不十分さを示す事例として取り上げられた。

未成年者については、情報取得に必要な条件を満たしているかを事業者側が確認する必要がある。ANPDは、必要な保護者などの同意が60日以内に提出されないケースでは、保存された個人情報を消去するようTikTok側に命じた。

さらに、広告などに利用する目的で集められた情報についても削除を要求した。事業者には今後の運用を国内法に適合させるための改善策を整備することも求められている。

未登録でも利用できる閲覧機能が監督上の論点に

規制当局が注目したもう1つの点が、利用者登録をせずに動画を閲覧できる機能だ。TikTokではブラジル国内で、ログアウトした状態でもコンテンツを見ることができる。ANPDは、この仕組みにより子どもや10代の利用者が実効的な年齢確認を受けないままサービスを利用できると問題視した。

当局の説明では、同様の機能は米国や欧州では提供されておらず、登録済みの利用者だけがアクセスできる仕組みになっている。地域によって利用条件が異なることも、ブラジルでの安全対策を検討する材料となった。

ANPDは、児童や青少年に関する情報を多数扱うこと自体に一定の危険が伴うとして、それに見合った保護策が不足していたとの見解を示した。年齢を確認しない閲覧方法と個人情報処理の双方が、今回の行政判断につながった。

違反が続く場合には日額の追加制裁を科す仕組み

今回の決定には、命令を確実に実行させるための追加措置も設定された。データの削除や当局への報告などを実施しなかった場合、TikTok側には1日当たり13万7081.49レアルの追加負担が生じる。対応を遅らせるほど制裁が積み重なる仕組みだ。

その一方、バイトダンスが処分に異議を申し立てず、早期に支払いを完了した場合には、罰金総額を25%減らすことが可能とされた。ANPDは、同社がブラジルの法令に合わせた運営計画を実行することを約束したとも説明している。

TikTok側は別途、今回の対応について適切な措置を検討する姿勢を示している。今後は罰金への対応に加え、利用者確認や情報保存の手続きを実際にどのように修正するかが求められる。

オンライン上の青少年保護を巡る規制が新たな局面へ

ブラジルでは2026年3月、オンライン環境での児童と青少年の安全確保を目的とする法律が施行された。ANPDはその運用状況を確認するため、8月21日から計22のデジタルサービスやSNSを対象に、新たな監視手続きを開始している。

海外でもTikTokの未成年者対応を巡る規制は進んでいる。米司法省は2024年、13歳未満のアカウント作成を十分に制限していなかったとして提訴し、2026年8月には4億ドルの支払いによる和解を発表した。

ブラジルでの今回の処分は、未成年者のアクセスを制限するだけでなく、年齢確認、保護者の同意、データの保存や消去までを一連の管理責任として捉えたものだ。デジタルサービスを運営する企業に対する青少年保護の監督は、より具体的な運用段階へ進んでいる。

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