中東混乱を受け原油供給網の見直しを本格化
政府は26日、中東情勢の混乱を踏まえ、原油の安定確保と国内のエネルギー供給体制を強化する包括策をまとめた。高市早苗首相がGX実行会議で示したもので、ホルムズ海峡を通らない輸送経路の確保や調達先の分散を進める。海峡回避に伴って増える輸送費への支援も組み合わせ、特定ルートへの依存を抑えながら供給の継続性を高める方針だ。今回の施策は、中東情勢悪化後の半年間に講じてきた対応を一つに整理した内容となる。政府は原油の確保だけでなく、輸送や備蓄まで含めた一連の仕組みを再設計し、供給途絶の影響を抑える体制づくりを進める。
輸入8割依存が映す原油調達経路の集中リスク
日本は情勢が悪化する前、原油輸入の約8割をUAEとサウジアラビアの2カ国に頼っていた。両国は現在も主要な供給元だが、ホルムズ海峡が封鎖された後は、油田地帯から別の港へつながる陸上輸送網の重要性が高まった。サウジアラビアでは西岸のヤンブー港、UAEでは東部のフジャイラ港が代替の積み出し拠点となっている。政府はこうした経路を安定的に使えるようにし、輸送路が一つに偏る構造を見直す。主要供給国との関係を維持しながら、海峡を通過しない選択肢を確保することで、情勢変化に応じて調達ルートを切り替えられる状態を目指す。
代替パイプライン整備と追加輸送費への支援
包括策では、供給国が進めるパイプラインの新設や能力増強を日本側から支える方針を盛り込んだ。エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)を通じ、建設に必要な資金などを支援する方向だ。海峡を避ける輸送は日数が長くなるため、石油元売りなどの輸入事業者には追加負担が生じる。この増加分については交付金で補い、その原資には輸入事業者が相互に負担する資金を充てる仕組みを設ける。企業側の負担増を抑えることで、海峡回避ルートを実際の調達手段として使いやすくする。
輸送保険とナフサ備蓄で供給途絶への備え強化
原油の確保だけでなく、輸送を支える制度面の整備も進める。国際情勢が悪化した場合でも、原油輸送に必要な保険を日本国内で確保できる仕組みを検討する。さらに、流通過程で不足が指摘されたナフサについては、ナフサ用途に回せる分を確保する形で原油を国家備蓄する。調達経路、輸送費、保険、備蓄を一体で見直し、供給途絶時の対応力を引き上げる狙いがある。ナフサを含む石油関連資源の不足が国内流通に波及する事態を想定し、備蓄の持ち方も実際の用途に合わせて改める。
年末の戦略策定へエネルギー供給網強靱化を加速
政府は短期的な供給安定策と並行し、化石燃料への依存そのものを減らす施策も進める。原子力発電の活用を強めるほか、次世代太陽電池への投資を進め、国内のエネルギー自給率向上につなげる。高市首相は世界のエネルギー構造の変化を踏まえ、国民生活と経済活動を守るため需給両面の対策を強化する考えを示した。政府は年末までに今回の包括策をさらに具体化する戦略をまとめ、必要に応じて法改正も行う方針だ。