地価高騰で住宅需要が郊外へ移行、再開発と交通利便性が新たな上昇地域を形成する2026年

河本 尚真
经过

都心の価格上昇で住宅選びに変化広がる

2026年の都道府県地価調査では全国の住宅地が前年比1.0%上昇し、5年連続のプラスとなった。東京圏は4.0%、大阪圏は2.3%上昇するなど都市部で高い伸びが続いている。一方、住宅価格や金利の上昇を受け、購入希望者が都心から交通の便が良い周辺地域へ選択肢を広げる動きも鮮明になっている。

不動産調査会社は、現在の地価上昇について、都心からの距離だけでなく、再開発の進展や駅の利便性、人口規模などが重要になっていると分析する。かつてのように都心の値上がりが郊外全体へ波及するのではなく、条件の整った地域が選別される状況となっている。

国立や越谷で子育て世帯の需要強まる

東京都国立市では、国立駅周辺で子育て世帯を意識した街づくりが進んでいる。駅前ではスーパーや小児科などを備えた施設が開業し、ファミリー向け賃貸マンションも完成した。新宿駅まで約40分という交通環境や文教都市としての特徴も、居住地としての需要につながっている。

埼玉県越谷市の越谷レイクタウン駅周辺でも住宅開発が進む。駅から徒歩約10分の場所では、約80平方メートルの3LDKを中心とする賃貸住宅が月額約24万円で募集されている。周辺で管理される賃貸物件の入居率は98%に達し、大型商業施設や病院、都心への移動のしやすさを重視するファミリー層の需要が強い。

大阪中心部の高値が周辺都市へ需要波及

大阪では中心部の住宅価格が高水準となる中、鉄道で市内にアクセスしやすい周辺自治体でマンション開発が進展している。門真市の京阪電鉄古川橋駅前では、地上41階、648戸のタワーマンションが建設されている。販売価格は2LDKと3LDKで4800万円から8700万円となっている。

大阪市中心部まで最短約20分で移動でき、市内の同程度の物件より価格を抑えられることから、ファミリー層を中心に関心が集まっている。大阪市内では同等のマンションが倍近い価格になるケースもあり、利便性と購入価格のバランスが住宅選択に影響している。

船橋では若い購入層が割安感を重視

千葉県船橋市では、都心に比べた価格の低さと交通環境を背景にマンション需要が高まっている。JR船橋駅から徒歩約10分の社宅跡地では、2028年までに4棟、計700戸余りの大型マンションが完成する予定で、最多価格帯は7300万円台となっている。

2026年3月から8月までにモデルルームを訪れた人は約900組に達し、その4割近くを35歳未満が占めた。東京駅まで電車で約30分である一方、都心では1億円を超えるマンションが多いため、住宅費を抑えながら通勤利便性を確保したい層の受け皿となっている。

高価格と金利上昇が市場の勢いを左右

周辺地域に需要が広がる一方、都心では価格上昇の勢いに変化もみられる。東京都港区の築9年の中古マンションでは、約1億8000万円だった売り出し価格を2026年7月に1000万円引き下げた事例がある。東京23区の中古マンション平均価格も、70平方メートル換算で7月に1億2724万円となり、2か月連続で前月を下回った。

新築市場でも販売状況に変化が出ている。首都圏194物件を対象とした調査では、販売が「好調」とされた物件は29%で、前年の同時期から9ポイント低下した。東京23区では「好調」が16ポイント減る一方、「苦戦」は9ポイント増えている。

全国の地価は上昇基調を維持しているが、住宅市場では価格や金利、再開発、鉄道アクセス、生活利便性によって需要の向かう先が分かれている。都心一極ではなく、条件の整った周辺都市へ住宅需要が広がっていることが、今回の調査から浮かび上がっている。

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