再審法案の検察官抗告見直し、自民了承見送りで調整継続へ

浅川 涼花
经过

検察官抗告の扱いが焦点化

刑事裁判の再審制度を見直す刑事訴訟法改正案を巡り、自民党は5月7日、法務部会と司法制度調査会の合同会議を党本部で開いた。法務省は、再審開始決定に対する検察官の不服申し立てを「原則禁止」とする再修正案を提示した。再審開始決定後の手続きが長期化する要因とされてきた検察官抗告の扱いが、今回の制度見直しの中心論点となっている。

再修正案では、検察官による抗告について「してはならない」と付則に記載する内容が示された。一方で、再審開始決定が取り消されるべきものと認めるだけの「十分な理由」がある場合には、例外的に抗告できる余地を残した。全面禁止ではなく、原則禁止と例外規定を組み合わせる案となった。

付則記載に議員から異論噴出

合同会議では、法務省が示した再修正案に対し、出席議員から異論が相次いだ。特に、検察官抗告の原則禁止を本則ではなく付則に記す点について、強い反発が出た。付則は本則に付随する規定であり、再審制度の重要な論点を置く場所として適切ではないとの意見が示された。

また、本則には検察官抗告を認める規定が残るため、実際の運用が従来と大きく変わらないのではないかとの懸念も出た。冤罪被害者の救済につながる制度改正にするには、抗告制限を明確に本則へ盛り込むべきだとの主張があった。このため、合同会議では再修正案の了承に至らなかった。

法務省案は例外規定を維持

法務省が提示した再修正案は、4月に示した修正案から一歩踏み込んだ内容となった。前回案では、「十分な理由」がある場合に抗告できるとする位置付けだったが、今回案では、まず抗告を禁止する文言を置き、そのうえで例外を認める構成に改めた。これにより、法務省は「原則禁止」の方向性を明確にした。

ただし、重大な事実誤認や法令違反があると判断されるような場合を想定し、抗告の道を完全には閉ざしていない。再審開始決定に対する検察側の関与をどこまで制限するかについて、法務省は全面禁止には慎重な姿勢を維持している。今回の案は、制度の迅速化と例外的な是正手段の確保を両立させる内容として示された。

見直し規定や選別規定も修正

再修正案には、検察官抗告以外の制度面の変更も含まれている。改正法施行後の見直しについては、当初の修正案で示された「施行5年後」から、「5年ごと」に検討する内容へ変更された。制度運用を継続的に点検する仕組みを盛り込む形となった。

再審請求を早期に退けるためのスクリーニング規定についても、一部が見直された。「請求に理由がないことが明らか」な場合に棄却できるとする要件は削られた。一方で、抗告後の審理期間を1年以内とする努力義務については、今回の再修正案でも維持された。法務省は複数の論点で修正を加えながら、政府案としての提出を目指している。

政府提出へ本則明記が争点

会議後、司法制度調査会の鈴木馨祐会長は、検察官抗告を「原則禁止」とする方向ではおおむね一致したと説明した。そのうえで、規定を付則に置くか本則に書き込むかについては、政府側との調整が必要だと述べた。自民党は5月11日にも改めて合同会議を開き、意見集約を進める方針だ。

政府は今国会での成立を目指し、5月中旬にも改正案を提出したい考えを持つ。ただし、禁止規定を本則に盛り込むことには法務省内で慎重な意見が強い。与野党内には検察官抗告の全面禁止を求める声も残っており、政府案の提出後も成立までの道筋は不透明な状況にある。

この記事をシェア