バイナンスが北朝鮮関連のサイバー攻撃を複数阻止、暗号資産の損失なく安全対策を強化

橘 美月
经过

バイナンスが北朝鮮関連の不正侵入を相次ぎ検知

世界的な暗号資産取引所バイナンスは2026年10月27日、直近1週間に北朝鮮と関連する複数のサイバー攻撃を発見し、阻止したことを明らかにした。今回の攻撃による内部システムへの侵入被害や暗号資産の流出は確認されていない。

同社が把握した攻撃には、採用活動を装って標的に接近する手法が含まれていた。北朝鮮との関係が指摘される攻撃集団は、こうした活動を継続しており、暗号資産関連企業が警戒する対象となっている。

バイナンスは今回の事案を受け、脅威の監視と検出能力を高めるとともに、社内の情報管理体制をさらに整備する方針を示した。

偽の採用面接や技術試験を利用した攻撃手法の実態

攻撃者が利用する手口の1つが「コンテイジャス・インタビュー」と呼ばれる活動だ。求人への応募や採用面接を装い、対象者に不正なプログラムを実行させることを目的としている。

具体的には、プログラミング能力を確認する課題などを提示し、悪意のあるコードを動かすよう誘導する。この方法は、システムの技術的な弱点だけでなく、人間の判断や行動を利用するソーシャルエンジニアリングに分類される。

バイナンスは利用者に対し、承認されていないソフトウェアを導入しないことや、出所の不明なプログラムを実行しないことを求めた。技術的な防御に加え、利用者自身の操作にも注意が必要だとしている。

日本でも確認された攻撃集団と採用活動の接点

コンテイジャス・インタビューは、北朝鮮を背景とする「ウォータープラム」という集団の活動として知られている。日本の警察庁は9月18日、この集団と北朝鮮のIT労働者による活動との関連を公表した。

2025年5月には、国内の暗号資産取引所ビットフライヤーの技術職に、北朝鮮のIT労働者とみられる人物が応募していた。この応募者が使用したIPアドレスは、ウォータープラムの攻撃者が利用していたものと一致したという。

ビットフライヤーは面接の過程で不自然な点を把握し、採用を見送ったため、被害は発生しなかった。

また、警察庁が示した情報では、2025年12月頃から2026年7月までに、100以上の国と地域で3万台以上とみられるパソコンが不正なプログラムに感染した。暗号資産ウォレットに関する情報も7,000件以上が盗まれている。

暗号資産取引所で発生した巨額流出事件の経緯

北朝鮮を背景とする集団による暗号資産の窃取は、これまでも大規模な被害を引き起こしている。

2025年2月には、暗号資産取引所バイビットから約14億6,000万ドル、日本円で約2,306億円に相当する資産が流出した。米連邦捜査局(FBI)は、この事件を北朝鮮関連の攻撃集団「トレイダートレイター」によるものと特定した。

同じ集団は、2024年5月に日本のDMMビットコインから約482億円相当のビットコインが盗まれた事件にも関与したとされる。

FBIと日本の警察庁は、この事件についても北朝鮮を背景とする集団の犯行だと発表している。暗号資産取引所に対する攻撃は、日本国内でも多額の損失を生じさせてきた。

日米韓が連携して進める暗号資産窃取への対策

北朝鮮関連のサイバー活動については、暗号資産を不正に取得することで外貨を確保する狙いがあると指摘されている。

日本、米国、韓国の3カ国政府は2025年1月、北朝鮮による暗号資産の窃取を巡る共同声明を発表した。声明では、盗まれた資産の回収と新たな窃取の防止に協力する方針が示された。

こうした取り組みには、北朝鮮の違法な大量破壊兵器や弾道ミサイル開発に利用される資金を遮断する目的がある。

今回のバイナンスへの攻撃では資産の損失を回避したものの、偽装採用や悪質なプログラムを利用する活動は継続している。同社は監視体制と社内の安全管理を強化し、同様の攻撃への対応を続けるとしている。

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