高価格帯マンションで購入の動きに変化
東京都心のマンション市場で、これまで続いてきた価格上昇とは異なる動きが表れ始めている。建築費や土地価格の上昇を背景に販売価格は高水準にある一方、住宅ローン金利の上昇も加わり、購入できる世帯が限られる状況が強まっている。販売現場では、価格を引き下げても買い手が決まらない物件も確認されている。
東京・港区では、築9年、70平方メートルの2LDK中古マンションが5月に1億7990万円で売り出された。JR田町駅から徒歩9分で、室内も改修された物件だったが、問い合わせは伸びなかった。7月に1000万円値下げした後も契約には至っていない。
東京23区では販売好調の割合が大幅低下
市場調査会社が2025年11月から2026年6月まで首都圏の新築マンションを調査したところ、回答が得られた194物件のうち、販売が「好調」とされた割合は29%だった。前年に同条件で実施した調査から9ポイント低下しており、新築市場全体で販売速度が落ちていることがうかがえる。
東京23区では変化がさらに大きい。「好調」とされた物件は33%で前年から16ポイント減少した一方、「苦戦」は14%となり9ポイント増えた。価格上昇が大きかった地域ほど、購入者側の負担増が販売状況に反映されている。
8月の首都圏平均価格は1億円を割り込む
不動産経済研究所によると、8月の首都圏新築分譲マンションの平均価格は9770万円だった。前年同月を5.4%下回り、1億円を割るのは4か月ぶりとなった。ただし、価格下落だけで市場全体の値下がりを示しているわけではない。
8月は高額な東京都心の物件供給が少なく、千葉県船橋市で比較的価格を抑えた新築物件の供給が増えたことが平均を押し下げた。東京23区に限れば平均価格は1億3821万円で、前年同月比0.1%上昇している。都心部の価格水準はなお高止まりしている。
地価上昇と富裕層需要は引き続き底堅く
国土交通省が9月15日に公表した都道府県地価調査では、全国の住宅地平均が前年比1%上昇し、5年連続のプラスとなった。東京と周辺3県を中心とする東京圏では4%上昇し、土地価格の上昇幅は拡大している。
高額物件に対する富裕層の購入意欲も続く。港区三田の高層マンションでは、160平方メートルの住戸が16億円で販売され、国内外から問い合わせが寄せられている。別荘や子どもの留学時の住居として検討するケースもあり、高所得層向け市場と一般世帯向け市場で状況が分かれている。
金利と高価格が今後の販売動向を左右
マンション価格は資材費や人件費の増加によって押し上げられてきたが、住宅ローン金利の上昇によって購入後の返済負担も増している。販売会社の調査では、毎月の返済額を抑えるため、価格の低い郊外物件へ購入希望者が移る動きも出ている。
一方で、地価上昇や富裕層の需要が続くため、都心マンション全体が一律に値下がりしている状況ではない。一般世帯が購入する価格帯で販売期間が長期化する一方、高額物件には一定の需要が残るという二極化が進んでいる。今後は金利、供給量、購入者の負担能力が価格形成を左右する要素となる。